肝炎ウィルスはだれにでもうつるのか?
急性肝炎には、ウィルスに感染しておこる流行性肝炎があり、その他に血清肝炎、および毒物による中毒性肝炎などがあります。肝炎にはたくさんの病気があります。
一方、急性肝炎が慢性化したり、あるいはアルコール飲料などのとりすぎで肝機能が低下して、慢性肝炎に移行することがある。慢性肝炎が悪化すると、肝硬変を招く、といわれています。
これらの分類は、それほど意味をもちません。いずれにしても、肝疾患においては肝機能が障害されるのです。その障害が何によって、どのようにひきおこされるのかが、問題のポイントです。
病院の医師や看護師が輸血用の血液から肝炎ウィルスに感染して血清肝炎をおこした事件が有名ですが、肝炎になった医師や看護師たちは、腎臓病患者の人工透析に従事していたことが後でわかっています。
人工透析をおこなう際、体内にもどす血液が足りなくなるので、1回200ccずつの輸血をする。そのために、患者の2割強が血清肝炎にかかっていたのです。(現在は輸血は不要です)
肝炎になった医師の1人は、治療中に倒れた患者に、酸素マスクを使って、自分の口から息をおくつて人工呼吸を行いました。同じく看護師の1人は、うっかりして、血清肝炎患者の血液を手にかけてしまった、というのです。
おそらく、この事件は、肝炎ウィルスがいかに恐ろしいものかを示してくれた…という印象を一般の人々に与えてくれました。
だが、肝炎ウィルスだけが肝炎の真因かというと、決してそうとはいえません。一般に、感染性疾患と呼ばれる病気にかかると、患部に、その疾患特有の細菌やウィルスが発生します。
その細菌やウィルスは、他の細胞に働きかけてその細胞質を同化し、自らと同じような機能をもった細菌やウィルスに仕立てていきます。
ところが、病的細菌やウィルスが同化力を発揮するかしないかは、作用を受けた細胞の抵抗性にかかっています。結局、発病するかどうかは、体質・体調の問題に帰されます。肝炎も、決して例外ではありません。肝炎患者の息をちょっと吸いこんだり、血液を手にかけただけで発病したとしたら、その人の体質・体調はかなり悪化していた、と考えてよいでしょう。免疫力が低下していたということになります。
アルコールより肉食のとりすぎのほうが肝臓への悪影響は大きい
肝機能を障害する条件として周知の事柄は、アルコール飲料のとりすぎ。欧米の学者によって、「急性アルコール肝炎」ともいえる肝障害がおこることも、報告されています。
また、アルコールをとりすぎると、肝臓に脂肪がたまりすぎた「脂肪肝」の状態になることもある。これらが進行すれば、当然、肝硬変になることもあり得ます。
脂肪肝などは欧米に非常に多く、わが国にはまれだという点に注目すべきでしょう。肉食と穀食この日常の食生活の違い、そこから生じる体質の違いに、カギはあるのです。
ともと、アルコール飲料が肝臓に有害という考え方がクローズアップされたのは、次のような事柄がきっかけとなっています。すなわち、アメリカで禁酒法が実施された期間中は、肝硬変による死亡がへり、禁酒法が解かれると、また、肝硬変が増加したことです。この事実から、アルコールが肝硬変の引き金となり得る、といえるのです。だが、アルコールそのものが健康な肝臓を障害し、次いで、肝硬変をひきおこす、とは必ずしもいえないのです。肝機能を障害するのは、何よりも過剰な肉食です。
肝機能を高める食べ物と弱らせる食べ物
肉、卵、牛乳などの動蛋食品は日本人の体では十分に処理、利用できません。人間はもともと穀菜食動物だから、とり扱い慣れない食物をもてあますのは、当然です。動蛋食品は、十分に消化できないため、有害な中間産物を大量に生みだすとともに、腸内菌の生態を狂わせ、有害細菌を増殖させて、いろいろな毒素を発生させてしまいます。それ以上に困ることは、動物性タンパク質を大量にとっていると、質のもろい体細胞が粗製乱造されることです。
肝臓には、2種類の血管がきています。ひとつは、肝臓を構成している細胞そのものに栄養分や酸素を供給する血液を入れた血管(栄養血管)。
もうひとつは、腸管から吸収された栄養成分を含んだ血液、および全身をめぐって、浄化作用を受けるためにおくられてくる血液を入れた血管(機能血管)です。
肉食過剰は、このどちらの血液もひどく汚してしまいます。しかも、どちらかというと、栄養血管中の血液性状を混乱させることによって、決定的な悪影響を及ぼす。肝細胞の質を弱くし、壊れやすくします。
したがって、このような肝臓においては、毒性の強い化学物質が入ってくれば、ひとたまりもなくダウンしてしまうでしょう。
もともと、肝臓はきわめてタフな臓器です。ネズミを用いた実験では、肝臓の一部を切除しても、数週間で元通りになっているのです。生命の維持に、より重要な役目をもっているために、このような旺盛な再生能力が与えられているのです。
われわれ人間は、本来の食性を大きく踏みはずし、やたらに何でも食べています。しかも各種の公害物質にさらされているのです。それでも、一応、生命を保ち長らえているのは、肝臓の強靭さに助けられている面がかなり大きい、と考えられています。
こんな丈夫な肝臓も、過剰な肉食にはきわめて弱いのです。肝実質が弱められるうえに、多量の毒素や有害化学物質の処理を強制されるのだから、過労となり、機能減退に陥るのは、時間の問題でしょう。
公害物質、食品添加物、アルコール飲料のとりすぎ、薬(化学薬剤)などは、いずれも肝機能を障害するものです。だから、これらは極力避けることが、肝臓を守る大切な条件となります。しかし、それ以上に重要なことは、食生活のベースを正すことです。つまり、毎日の食事の内容を改善することです。
玄米・菜食は最高の強肝食です。それと同時に、不可避的に体内に侵入してくる公害物質をすみやかに排出してくれる健康食品を活用することが大事なポイントです。とくにミネラル食品、酵素食品が有効です。
海藻、みそ、ゴマは、肝機能を大いに高める食品です。海藻には強肝作用のあるビタミンA 、ビタミンB12などが多量に含まれます。
肝臓障害治療のポイント
- 肉食は厳禁。肉は腸内で腐敗発酵をおこし、強力な毒素を発生させる。消化物のほとんどは、まず肝臓内にもちこまれるので、肝臓は肉毒を直接受ける。牛乳、卵も動蛋食品だから、肉同様に有害である。
- 化学物質は極力、体の中へ入れないようにする。化学調味料、ビタミン剤をはじめとした食品添加物、化学薬剤(強肝剤や鎮痛剤など)、農薬、中性洗剤など。白砂糖や精製塩も、本質的には化学物質に準ずるもので、避けなければならない。
- しばらくは酒類は控える。アルコールそのものは肝臓障害をおこす絶対性をもっていないけれど、機能が弱っている時は、負担を軽減する必要がある。
- 玄米・菜食に切り替える。根治の決め手である。玄米を主食にし、野菜・海藻・小魚介類を副食とする。それに体質に合った健康食品と薬草茶をプラスするのが、基本原則である。
薬効食品と自然療法
- シジミ
- エキスをそのまま飲むか、みそ汁に溶いて飲む。シジミは肝機能の回復に卓効をあらわす。エキス食品は、有効成分をより効果的に補足できる。もちろん、シジミのみそ汁をつくつて飲むのもよい。真っ白になった脂肪肝の肝臓も「しじみ」で元気いっぱいに!
- ビワの葉療法
- ビワの葉エキスを用いて、肝臓部(腹側、背側)に温湿布を行う
- 朝鮮人参
- めざましい強肝作用をもつ。
- クコ
- 葉の煎汁に、黒ゴマ塩を入れて飲む。
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