病気の原因と症状
痛風は、体の中に尿酸がたまり、それらが結晶になって、激しい関節炎を伴う病気です。放っておくと激しい関節の痛みを繰り返したり、体のあちこちに結節ができたり、腎臓が悪くなったりする重大な病気でもあります。腎炎→ネフローゼ→腎不全→人工透析が最悪のパターンです。
この痛風は、かつては帝王病などと比喩され、贅沢な食事ができる人だけの病気だとされていました。しかし、日本の食生活はとても豊かになり、欧米化が進んだため、痛風になる人が増えたのです。
血液の中に尿酸(にょうさん)という物質が含まれているのですが、病気の原因は尿酸が異常に増えることで、痛風が起きる前には、血液の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が長く続きます。そのまま放っておくと、尿酸は関節や腎臓に付着して、炎症発作を起こします。突然、足の親指のつけ根などの関節が赤く腫れて痛くなります。その痛みはとても激しく、耐えがたいほどの痛みだといいます。
この痛風発作は、たいていの場合、1週間から2週間で次第におさまって、しばらくすると全く症状がなくなります。ただし、1年以内に同じような発作を起こしやすいので油断は禁物です。繰り返しているうちに、発作の間隔は短くなってきます。そして、関節の痛みだけでなく、関節の周りや耳や手の甲などに尿酸の塊のしこりができたり、腎臓が悪くなったり、尿路結石ができたりする人もいます。
急性から慢性になりやすく、最終的には重症の慢性痛風になる可能性も高いので、放置しておくのは危険です。
「栄養過多」は「栄養不足」より質が悪い
痛風という病気が食生活と密接な関係があることは、もともとは穀菜食中心であった日本においてはきわめて少なく、肉食中心の欧米に多い事実からもわかります。
また、第二次世界大戟中に、デンマーク、ドイツ、フランスなどでは痛風患者が激減した、という記録もあります。そして戟後の復興にともない、しだいに増加してきている。もっとさかのぼれば、ギリシャ、ローマ時代の昔から、痛風は代表的な難病とされてきましたが、美食に明け暮れる上流貴族たちばかりがやられるところから、「帝王病」と呼ばれていたほどです。
日ごろ、動蛋食品、白米、白砂糖中心の美食をしている人は、すべて痛風にかかる素地ができていると思ってまず間違いないでしょう。
関節痛をおこす病気には、関節リウマチ、結核性関節炎、腫瘍や内出血による関節炎などいろいろなものがあります。痛風であるかどうかは、血液および尿中の尿酸値や痛風結節の有無を目やすにして見分けます。この他、レントゲン検査などをおこなうこともあるのですが、疼痛その他の症状に特異性があるので、わりあい容易に見分けられます。
ある日突然、足の親指のつけ根が痛みだす、といった症状ではじまる場合が約7七割。あとは足首、膝、肘、手指、肩などの関節が痛む。そして2~3時間もすると赤く腫れ上がって、痛みはいっそう激しくなります。この関節の腫れと痛みが痛風の特徴です。
その程度はまちまちで、発熱して寒けをおぼえ、患部に触れるのはもちろんのこと、人がバタンと閉めたドアの振動も響くというほど、ひどい場合もあるほどです。そうかと思うと、心なしかズキズキする程度でさほど気にもならない、という場合もあります。いずれにしても、適切な治療をしなければ再発をくりかえし、しだいに慢性化していきます。
尿酸の代謝異常が痛風の原因
一般に、痛風の本態は尿酸の代謝異常です。尿酸がどんどん生産され、尿中にも排泄されるのだが、それでは間に合わないのです。そこで尿酸は血液中にダブついてくるのです。その血液は全身の組織器官をめぐっていき、関節といわず、皮下といわず、その尿酸を沈着させてしまいます。これがしこりになったものを痛風結節といいます。関節の周囲や、耳、手足、肘、膝などの皮下にできることが多く、大きさはケシ粒大の小さなものから、鶏卵大ほどに大きくなるものまであります。
だが、尿酸沈着が最もおきやすいのは関節です。関節には、摩擦を少なくして運動をしやすくするための滑液があるのですが、この滑液中に尿酸ははいりこみます。
滑液中の尿酸濃度は血液中のそれとほぼ同程度。体の抵抗性を弱めるような何らかのきっかけがあると、結晶として出してくるのです。
関節によけいな物質がはいりこんでいては活動の妨げになるので、生体はこれを追いだしにかかります。その懸命の防衛作業が、炎症という現象をひきおこし、痛みがおこるのです。
炎症がおこると、透過性が高まった血管から各種の化学成分や酵素が放出され、結果として乳酸が生成されます。そのため、滑液は酸性に傾いて、尿酸の結晶の生成はますます助長されます。そして、ついには骨組織が障害され、関節構造の変形や破壊がおこり、著しい機能障害が起きます。関節以外の部位にできた結節はふつう、炎症反応や痛みはおこしません。
関節は常に運動するところであり、神経の圧迫をおこしやすいということもあって、痛風特有の関節痛がおこるのです。体内でできた尿酸の三分の二は腎臓を通って尿として排出されるため、腎臓の負担が大きくなる。
痛風の食事療法について
痛風の原因となっている尿酸の代謝を改善することが、予防や治療になります。薬剤を用いての治療もされますが、痛風の予防や悪化、再発を防ぐには、食事療法が必要です。
プリン体を制限する
プリン体は、食物全般に含まれる成分で、尿酸が合成される時に材料になります。ですから、まずはこのプリン体の摂取量を減らします。代謝の活発な組織に多く含まれているので、肉や魚介類の内臓類は避けましょう。
タンパク質を摂り過ぎない
卵、乳製品を除いたタンパク質食品には、一般にプリン体が多く含まれています。普段、主食を食べずにおかずばかり食べている人は、タンパク質の摂取が多くなりがちなので気をつけましょう。
アルコール類を禁止する
アルコールは高エネルギーであり、飲み過ぎると酵素による調節が低下して、尿酸の排泄が悪くなります。アルコールの中でも、ビールや発泡酒は特にプリン体が多く含まれているので気をつけましょう。ただし、近頃は低プリン体で、プリン体ゼロなどとうたわれる商品も増えています。
水分を摂って尿酸を排泄する
水分の摂取量を増やし、尿量を増やして尿酸の排泄を助けるために、普段から水分をよく摂るようにしましょう。ただし、砂糖入りの飲料はダメです。糖分が増えると肥満を助長し、尿酸ができやすくなるためです。
活泉水がおすすめです。少し多めに飲む習慣が尿酸の排泄のきっかけになります。
腎臓結石や腎炎になりやすく、尿に蛋白が出たり、血尿が出るというように、腎臓障害がおきやすくなるのは、尿酸値が高すぎて排泄されなかった尿酸が腎臓を痛めつけるからです。また血液中の尿酸値が異常に高いと、尿酸は血管内の内壁にも沈着するので、動脈硬化をはじめ高血圧、狭心症、心筋梗塞などの障害もおきやすくなります。
ダイエットで体内の老廃物を追いだす
尿酸の代謝が異常になっている、ということは、タンパク質の代謝が異常になっているということです。もちろん、われわれの体を構成している成分はすべてが有機的に結びついているから、ひとつの成分の働きだけがおかしくなることはなありません。だから、物質代謝全体のバランスをとっていかねばならないが、そのために最も混乱をおこしているタンパク代謝を正す、というわけです。
現代医学でも、痛風は、糖尿病や肥満症、ポルフィリン症などと同様に代謝疾患として扱っています。しかし、その原因を特殊物質である尿酸の単純代謝異常であるとみなしているので、治療法は妥当性を欠いてしまっています。尿酸のみに目をクギづけにしてしまい、全身の代謝機能の狂いに日を向けようとしないのです。
だから、体内の尿酸を尿として出す薬、体内で尿酸の生成を抑える薬を用い、さらに痺痛は抗生物質でとる、といった療法。そして、これらの薬は一生飲み続けなければならないといっているのです。
現代栄養学はもっと無責任である。尿酸はプリン体からつくられるからプリン含有量の多い食品を制限しました。だが最近は、プリン体を制限しても血液中の尿酸値はほとんど減少しないことがわかると、この制限を解除しました。
肉類、キノコ類、豆類など比較的プリン体を多く含む食品も、食べたいと思う量の8割にとどめ、すべての食物は一口残して過食、肥満を防止する程度でよい。また、体力低下につながるからタンパク質は必要量までとらなければいけない… … というように変わってきているのです。
いずれにしてもタンパク質代謝を正常化できる方法ではないので、痛風の根治は望めない。タンパク質の代謝を乱す最大の原因は、肉食の過剰摂取です。痛風患者のほとんどは肥満者ですが、肥満の原因の筆頭に挙げられるのは肉食過剰。
まず、肉食を禁ずることが肝要。そして体内に停滞している尿酸を分解、排泄するために健康食品を活用します。われわれの体内でおこなわれている代謝では、どの過程においても酵素が作用し、重要な働きをしているのです。
調理のコツ
プリン体が多く含まれる肉や魚介類は摂り過ぎないようにして、内臓類は避けます。動物性脂肪は控え、植物性の油を使います。砂糖の入った飲料や菓子などは控え、エネルギーの摂り過ぎに注意します。アルコールは基本的に禁止です。血圧が高くなくても、薄味にしておきます。
関連サイト(外部リンク)
サイト名:成人病のわかれ道、体脂肪率30%のライン | かくれ肥満のための知識と肥満の減らし方https://metaboliz.net/hidden/archives/37
「生活習慣病」と呼び方が変わりつつありますが、体脂肪率30%以上になることで増える成人病には、糖尿病、高血圧、高脂血症、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、脂肪肝、胆石症、痛風、骨粗鬆症、関節障害、大腸ガン、子宮体ガン、乳ガンなどがあり、放置すると、寝たきりになったり、最終的には死に至るといった深刻な結果を招く可能性が大きく、たかがかくれ肥満とあなどると、取り返しのつかないことになります。
タンパク質代謝に混乱がおこっているということは、それだけ酵素が不足しているわけだから、酵素を十分に補給します。また酵素活性を強化するためには、胚芽・葉緑素にょってビタミンやミネラル類を補うことが必要です。食事は玄米・菜食に切り替え、全身の物質代謝を正常化していくことが大切です。
痛風の治療のポイント
- 肉食は厳禁。痛風という病気の本体は、タンパク代謝の障害である。ステーキからモツまで動蛋食品はいっさいやめなければならない。スタミナ低下など決しておきない。
- 美食をやめる。肉、牛乳、卵、白米、白パン、白砂糖などの常食が、痛風の素地をつくる。
- 化学薬剤の使用はやめる。一般には尿酸の排泄を促す薬剤、尿酸の生成を抑える薬剤、痛みを止める抗生物質などが用いられているが、胃腸を荒らして血液性状を悪化させるので、結果的には逆効果となる。
- 体重を落とす。体脂肪をへらすことによって、大急ぎで体内の老廃物を排泄することが大切。
- 玄米・菜食に切り替える。根治の決め手である。玄米を主食にし、野菜・海藻・小魚介類を副食とする。それに体質に合った健康食品と薬草茶をプラスするのが、基本原則である。
薬効食品と自然療法
- ヨモギモチ
- ヨモギは痛風の根治に卓効をあらわす。もち玄米を使うこと。玄米粉を用いたヨモギだんごもよい。
- ヨモギ茶
- お茶代わりに飲む
- ホウレンソウ
- ふつうに調理し、多めにとる。尿酸の分解・排泄を促す。
- ジャガイモ
- 肉毒解消作用が著しい。これまでとくに肉食を多くしていた人は、常食するとよい
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