腎不全

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病気の原因と症状

腎臓の機能が低下し、本来の腎臓の働きである、体内の老廃物の除去や尿の排出ができなくなった状態を腎不全といいます。腎不全には、急激に起こる急性腎不全と、慢性に経過して起こる慢性腎不全があります。

急性腎不全

数日、または数週間くらいのうちに急激に起こります。その原因には、糸球体腎炎によるもの、交通事故などで大量に出血したり心臓障害などから起こるもの、尿管や膀胱(ぼうこう)などの過程で尿が止まってしまったことなどが考えられます。

初期症状として、尿の量が著しく減少することがあります。そのほかにも、むくみや倦怠感、嘔吐などの尿毒症という症状もあらわれるようになります。これらは早期に治療することが重要になり、それが病後の経過を左右するのです。原因によっては回復できることもあります。

尿量が少ない時期には水分と塩分の制限を厳重におこない、安静にしていなければなりませんが、尿量が戻ってきたら適度な水分の補給やカロリーの補給などが必要になります。

慢性腎不全

慢性腎炎は、慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群、糖尿病性腎症などから移行することが多く、徐々に病気が進行し、最終的には腎臓の機能が果たされなくなります。

進行すると一時的に尿量は増えますが、さらに進行すると、やがて尿量は減少し、ついには、まったく尿が出ない無尿の状態になります。尿毒症の症状もあらわれてきます。
そして、末期になると、人工透析というとてもつらい治療を生涯していかなくてはなりません。

病気の悪化と進行を防ぐためには、長期にわたる毎日の食事療法が重要となります。適切なタンパク質量の制限、エネルギーの補給、塩分の制限が中心です。

腎不全の食事療法について

腎不全になると、腎臓の機能は著しく低下します。残念ながら、現在の治療法では、低下してしまった機能を元の状態に戻すことはできないのです。ですから、限られた機能の中でいかに体の恒常性を保ち、病状の悪化や進行を防ぐかが食事療法の目的となります。もちろん、薬も用いられますが、安静を保ちながら食事療法をおこなうことが基本の治療法です。

タンパク質を調節する

タンパク質は腎臓の機能にあわせて調節します。タンパク質を制限する目的は、タンパク質が分解されたとき老廃物として出てくる尿素、尿酸、カリウム、リンなどの産生を低下させ、これらが蓄積されないようにするためです。蓄積されてしまうと尿毒症があらわれ、腎不全の末期症状となります。

特殊食品でエネルギーをアップする

エネルギーの摂取が不足すると、タンパク質でできている筋肉や内臓の分解が亢進し、タンパク質が単にエネルギー源として利用されます。そして、分解されて生じた老廃物が体内に蓄積されます。

タンパク質を制限し、エネルギー量を増やすと、糖質と脂質の摂取量は多くなります。しかし、普通の食事から摂るにはなかなか難しいので、医療用に開発された特殊用途食品を利用します。

減塩食にする

食塩の量は、高血圧やむくみ、心臓肥大の有無などによって決められます。尿量が極端に少なくなったら、食塩の制限がかなり厳しくなるので、減塩食をおいしくするために、調理の工夫が大切です。

カリウムを制限する

腎機能の低下からカリウムの排泄が悪くなるので、カリウムが多く含まれている生野菜や果物を控えます。カリウムは水に溶けやすい性質なので、生野菜を水によく浸す、茹でこぼすなどします。

調理のコツ

急性腎不全の場合

透析が積極的に行われるため、入院治療になります。水分、塩分、タンパク質、カリウムが制限されます。エネルギーの確保が必要で、エネルギー不足を防ぐために特殊食品が用いられます。

慢性腎不全の場合

腎機能の程度に合わせタンパク質の制限が必要になります。揚げものや炒めものは油でエネルギーアップになり、水分が減らせるのでおすすめです。おやつに高エネルギーの特殊食品を利用するのも良いです。

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