病気の原因と症状

鼻やのどを中心とした上気道に起こる、急性の炎症のことを風邪(かぜ)といいます。風邪の原因となるのは、鼻やのどがウィルスに感染することです。風邪のウィルスの種類はとてもたくさんあって、どのウィルスに感染したのかを特定することは困難だといわれています。同じウイルスでも型がいくつもあり、しかも、それが年々変異するので、一度感染したウイルスに免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染して、何度も風邪をひいてしまうのです。

風邪の症状には、ご存じのとおり、くしゃみや鼻水、鼻づまり、のどの痛み、せき、たん、発熱などがあります。これは、ウイルスが粘膜から感染して炎症を起こすからです。
風邪は、われわれにとって、最も身近な病気のひとつです。そのため、だれでもひとつや2つ、自分なりの風邪の治し方というものをもっているものです。

よく紹介されている民間療法的な方法をみてみると、

  • 種実類を積極的にとる
  • ダイコンを大いに活用する
  • 薬草茶を飲む
  • 皮膚の鍛錬

などがあります。

体がウイルスと戦いはじめると、粘膜の内部の組織に炎症が起きて、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。

のどでは、のどの粘膜の炎症が起こり、せきやたんというかたちで、異物を外へ出そうとします。また、熱が出るのは、ウィルスの侵入によって体に異変が起こったことを知らせるサインで、自分で自分の体をなおそうとする免疫の働きが活発になっているからです。

インフルエンザも、風邪と同じく、鼻やのどの上気道の感染によって起こる病気です。しかし、インフルエンザを起こすインフルエンザは、風邪を起こすウイルスとは異なり、症状の重さも異なるので、別の病気だと考えたほうがよいでしょう。

インフルエンザでも鼻水やのどの痛み、せきなど風邪と同じような症状がありますが、風邪と比較すると高い熱が出て、関節痛や筋肉痛などの全身症状を伴います。また、インフルエンザ脳症や肺炎など、重い合併症を起こしやすいことが風邪とは異なります。

風邪・インフルエンザの食事療法について

現代日本人は食生活において完全に油断しすぎています。文字通り油断で、植物油のとり方が少ないのですが、油というより、リノール酸が十分にとられていないのです。

動物性脂肪や、抽油剤使用の植物油を用いては肝臓が傷めつけられたり、血液の油粘製が異常に高くなり体の抵抗力は減退してしまいます。クルミ、松の実、ゴマなどを大いにとる必要があるのです。

ダイコンはすぐれた消化酵素ジアスターゼを含んでいます。現代日本人は美食のうえに過食をしていて消化機能は大いに減退しているから、ダイコンの利用は特に不足気味です。すりおろして食べればいいが、薄切りを純粋なハチミツに漬けておいて、アメ湯として用いてもよいでしょう。

クコ、甘草、ヨモギ茶などの薬草茶は、腸を整え、血液をきれいにする効果があるから、体の抵抗力をよみがえらせて、風邪を早期に治すのに効果的です。

皮膚は機能的に呼吸器系と密接な関係性があります。皮膚を鍛錬すると、組織呼吸をもなめかんらかにすることになるから、基礎体力が増強され、体の抵抗力がグンと高められます。
乾布摩擦、日光浴、薄着の習慣をつけることなどは、ぜひ実行したい習慣dす。ただし、真の健康体ならば、めったにカゼをひくものではありません。ちょくちょく風邪をひくようなら、体質面に問題があるのだから、もっと根本的な療法が必要となるでしょう。

風邪は腸からひく

ふつうは、鼻、のどなどの上気道の急性炎症を主な症状としてあらわす病気を風邪と一般的に呼んでいます。

現代医学では、その原因はいわゆるウィルスにあるとみなして、そのウイルスをやっつけるような薬剤やワクチンづくりに懸命です。

しかし、それはとんだ間違いです。真因はわれわれの体そのものにあるのです。ウイルスがみつけられたとしても、それは外からはいりこんできたものではなくて、自分自身の体でこしらえたものなのだ。腸内で自家生産されるのです。

われわれの腸内には無数の微生物が棲んでいいます。それも、健康体では乳酸菌などの有益菌が優位に立って一定のバランスが保たれています。

ところが、腸内環境が悪化すると、そのバランスがくずれて、病的なバクテリアの増殖が盛んになり、しかもそれは崩壊しやすく、崩壊するとウイルスに姿を変えて、どんどん血液中にはいってしまいます。つまり、血液は汚されるのです。

このウイルスは、血流にのって全身をめぐっていくから、肝臓や腎臓などの臓器器官にも多かれ少なかれ障害をおこすのですが、とくに上気道の粘膜が弱っている人では、そこの炎症が最も目立ちます。

そんな状態を風邪と呼ぶという約束ごとになっているにすぎないのです。風邪の症状だけをみて、病気を軽くみることはできないのです
ウイルスに対する抵抗力をつけるために、安静にして保温を保ち、食事療法をおこないます。

エネルギーが不足しないように気をつける

風邪をひいた時の食事というと、あっさりしていて消化の良いおかゆになりがちでは?
風邪により熱が出て体温が1度あがると、10パーセントくらいの基礎代謝が働くので、そのぶんエネルギー消費量が増えます。エネルギー量が多く必要になるのにおかゆだけだとエネルギーが不足し、体力の低下や体重減少が起こり、やつれてしまうのです。エネルギーアップのためには、消化の良いごはんのほか、めん類やパン、はちみつ、砂糖、乳酸菌飲料などを摂りましょう。

水分とミネラルをじゅうぶん摂る

水分、ナトリウム、カリウムが体内から大量に失われて、電解質のバランスがくずれ脱水症状が起こりやすくなります。お茶、スポーツドリンク、スープなどで水分とミネラルをしっかり補給しましょう。
水分補給におすすめは活泉水です。

大食いの人は風邪をひきやすい

中国では、風邪をひいた時はセンブリをよく用いる。センブリは胃腸病に卓効をあらわす薬草です。

風邪の大モトが腸機能の乱れにあることを考えれば、これはまことに合理的な処方といえます。だから、先に挙げたクコ、甘草、ヨモギなどの整腸効果のある薬草茶は大いに有効です。

しかし、薬草茶を飲んで万事OKというわけにはいきません。腸の機能を混乱させている元凶を断たなければ、本当の根本療法とはならないからです。

腸内環境を悪くしている真因は、動蛋食品および精白食品です。肉、卵、牛乳などの動蛋食品は、われわれの腸内ではスムーズに消化されず、腸内にグズグズしているうちに異常発酵がおこります。その結果、病的ウィルスが生まれます。

白砂糖、白米などの精白食品は極度のミネラル欠乏食のため、腸の消化機能を減弱させ、腸内の有害物を血液中に素通しさせてしまうのです。

風邪をひきやすい人は、とくに上気道の組織の抵抗性が弱っているわけだが、そうしたウイークポイントも、元をたどれば、動蛋食品、精白食品にかたよった食生活によって生みだされたもの。血液が汚れると、自律神経や内分泌機能もアンバランスになって、粘膜組織は非常弱体化してしまいます。
腸内でのウィルスの発生、腸機能の低下、自律神経や内分泌機能のアンバランス…これらは、いずれも慢性病を生む重要な条件ばかりです。

病気は、放っておいて治るというものでは決してありません。表面的にはそうみえても、食生活が間違っているかぎり、症状が消えたことは、ただ病気が潜行しただけで、体質の悪化は確実に進んでいるのです。

白米・肉食をやめて玄米・菜食に切り替え、体質の改善をはかることが不可欠です。とくに呼吸器系を強化するためには、次の点を心がけなければ治りません。

まず、少食にする。過食していると、胃腸は疲れ、消化力は低下して、体の抵抗力は衰える。そのため、呼吸器を弱め、すぐにカゼをひくようになります。

十分に岨嘱して食べれば、何の苦痛もなく少食にできるものです。次に、梅醤番茶を毎日飲む。これは、不思議と心を静め、体の抵抗力を強める効果がある。梅干しをほぐして、熱い番茶を注ぎ、醤油を2~3滴落とせばでき上がり。

さらに、アンズなどの呼吸器系に特別有効に作用する薬効食品をたびたびとるとよい。アンズは、昔から呼吸器に効く食品といわれて利用されてきた。たとえば、干しアンズを純粋のハチミツで煮て食べるというやり方です。

なお、できればハチミツは無添加のものを、干しアンズは漂白剤が使用されていないものを選ぶのが好ましい。この他、レンコン、クズ粉も呼吸器を強くする薬効食品である。

ただ、風邪の場合は、それらがごく軽度の段階にあるというにすぎない。

調理のコツ

肉や魚介類、卵、豆腐、乳製品といったタンパク質食品を中心に、バランスの良い内容でじゅうぶんなエネルギーを摂取します。熱がある時には、口あたりや消化が良いものにするとよいでしょう。煮る、茹でる、蒸すなどして、やわらかく食べやすいメニューにしましょう。

治療のポイント

  1. 過食をやめる。過食していると、胃腸は疲れ、消化力が低下して、体の抵抗性が衰え、風邪をひきやすくなる。
  2. 白米・肉食をやめる。白米、白パン、白砂糖、肉、卵、牛乳、精製塩、化学調味料などの不自然食をとっていると、腸内に毒素(ウィルス)が発生する。これが上気道に炎症をおこす元凶となる。
  3. 化学薬剤に手を出さない。いわゆる風邪薬は解熱鎮痛剤、鎮咳剤、去疾剤、抗ヒスタミン剤など有害化学物質の寄せ集め。体の自然性を損なうだけ。
  4. 玄米・菜食に切り替える。根治の決め手である。玄米を主食にし、野菜・海藻・小魚介類を副食とする。それに体質に合った健康食品と薬草茶をプラスするのが、基本原則である。
  5. 腸内の有用細菌の増殖をはかる。みそ、納豆など、本物の発酵食品を積極的にとる。
  6. ストレス解消を上手に。抗ストレス食品を活用する。
薬効食品と自然療法
にんにく
ニンニクとゴボウをすりおろしたものに、みそを加え、熱湯を注いで飲んで寝る。蒸し焼きニンニクを毎夕食時に食べるのもよい。
にんじん
ニンジン、ゴボウ、ニラ、ジャガイモ、キャベツでスープをつくって、アツアツを食べて寝る。
しょうが
すりおろしたショウガを温めた酒に混ぜて飲む。ショウガ、シソ菜を煎じて飲む。ショウガ、干しシイタケ、干し柿を煎服。

れんこん

すりおろし汁を飲む。