主成分
クルクミン、クルクミノイド
効能
抗炎症作用、肝機能の向上、抗酸化作用、消化不良を改善、ガン細胞の増殖を抑える
副作用
過剰摂取や長期間の摂取で消化管に障害を起こす恐れ。
注意
抗ガン剤の働きを弱める

消化不良に有効

「肝機能が高まる」「二日酔いに効果的」と喧伝される ウコン 。さらに「血糖値維持や肌荒れ防止」「ダイエット効果」「がん、高血圧、動脈硬化の予防」、はては「花粉症予防」にもパワーを発揮すると、中年族が泣いて喜びそうな文句が並びます。

その効果は本物でしょうか? ウコン はインド原産のショウガ科の植物で、日本でも沖縄、九州、四国などの暖かい地方で栽培されています。

ウコン

ウコン

カレーが黄色くなるのは、 ウコン に含まれる黄色色素のクルクミノイドによるものです。

クルクミノイドは「クルクミンの親戚」という意味です。花を咲かせる時季によって春ウコンと秋ウコンが有名で、いずれも錠剤や粉末を水で飲んだりします。

お茶で飲むこともあります。 ウコン の主成分は、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミンなどのクルクミノイドと、ターメロンやセスキテルペンなどの揮発性で芳香のある精油です。

クルクミノイドのうち最強の生理作用を持つのはクルクミンです。 ウコン を飲めば、胃液の分泌を促すとともに、胃の粘膜を保護して消化不良を改善します。実際にドイツでは、ウコンが薬として処方されているから、その効能は保証済みです。

ウコン の3 つの効果

ウコン の効果は、炎症を抑える抗炎症作用、肝機能の向上、抗酸化作用の3 つです。まずは炎症を抑える抗炎症作用から。

炎症とは、ケガをした箇所が腫れて赤くなり、熱くて痛くなる不快な現象です。身体のどこかが痛ければ炎症が発生していることになります。炎症はたしかに不快なものですが、身体の防衛には欠かせない。バクテリア ( 細菌 ) や ウィルス などの病原体が生体に侵入してきたとき、免疫系の細胞であるマクロファージや好中球が活発化し、敵をめがけて活性酸素というミサイルを発射します。

こうして炎症が起きます。炎症は、病原体という「敵」をやっつけるために「活性酸素」というミサイルで爆撃する際に発生する火災です。

炎症があるおかげで、わたしたちの命は守られていると言えるでしょう。この炎症を促進するのが ロイコトリエン という脂肪酸ですが、 ウコン に含まれる クルクミノイド と精油は、 ロイコトリエン の生産を下げることによって炎症を抑制します。

また、 クルクミノイド には、活性酸素を分解するグルタチオン-S -ランスフエラーゼ という酵素を活性化する一方で、解毒の際に活性酸素を生産する p -450 という 酵素 のはたらきを抑制するダブル効果があります。

クルクミノイド に、強力な抗炎症作用があることがわかります。

次に肝機能の向上です。ウコンは胆汁の生産を増やし、肝臓の負担を軽減することによって解毒能力を高めます。最後に 抗酸化作用 です。活性酸素 は、細胞膜をつくる脂質を酸化するから、細胞が弱体化します。ところが、 クルクミノイド が 活性酸素 と刺し違えることで、膜は保護され、細胞は守られるのです。

活性酸素 は DNA にダメージを与えて、 突然変異 を引き起こす。この 突然変異 が蓄積することで、正常細胞が がん細胞に変身する。 クルクミノイド は活性酸素 を分解するので、 DNA のダメージを防ぎ、正常細胞のがん細胞への変身を抑えます。最近、 クルクミン が、がん細胞 の 増殖 を抑えることが発見されました。

がん細胞が増殖するには、栄養と酸素を補給するための新しい血管がつくられなければなりません。これを「血管新生」といいます。

2003年、韓国セジョン大学のクオン教授は、クルクミンが血管新生を阻み、がんの増殖を阻止することを明らかにしました。

抗がん剤 との併用に注意

ウコン の効果でひとつ、気になることがあります。 抗がん剤 や 放射線療法 が効果を発揮するのは、猛毒の 活性酸素 を発生させて がん細胞 に ダメージ を与え、これによってがん細胞が「 アポトーシス 」という自殺を選ぶためです。それなら、 活性酸素 を分解する ウコン を摂取すると、抗がん剤や放射線療法の効果が下がってしまうのではないか。その通り。この心配が見事に的中してしまいました。

2002 年、ノースカロライナ大学がんセンターのオロスキー教授は、 ウコン が 乳がん の治療に利用されるサイクロフォスファミドによるがん細胞のアポトーシスを妨げ、効果を著しく減少させたことを「がん研究」誌に発表しました。

ウコン の摂取は、 サイクロフォスファミド ばかりか、 ドキソルビシン 、 カンプトセシン 、 メクロレサミン などの、 抗がん剤 のはたらきを弱めることが明らかとなっています。 抗がん剤 の治療を受けている患者は、 ウコン の摂取を控えるだけでなく、カレーなど クルクミン 含有食品もできるだけ避けるのが賢明ということです。

肝機能強化 のつもりが障害に

手軽で効果的、がん抑制効果まで期待されるとなれば、まさに言うことなしです。ところが、一歩間違えば、「諸刃の剣」になりかねない、ウコンの摂取が原因と思われている肝障害が報告されています。

東京逓信病院の患者を対象にした調査で20 04年10月までに18件が判明し、そのうち1 人が死亡しているのです。

亡くなったのは都内に住む60代の女性で、肝硬変を患っていました。彼女は、肝機能を高めるべく ウコン 粉末のサプリを2 週間摂取したところ、逆に症状が悪化しました。入院して3 ヶ月後後に帰らぬ人となってしまいました。

また、肝硬変 患者の60代の男性は、 ウコン を飲み始めてから肝性脳症で入院したものの、ウコン摂取を止めて食生活を改善したら、健康を回復しました。

これ以外にも、B 型やC 型肝炎ウイルス感染による、慢性肝炎患者6人が ウコンを摂取した後、肝機能が悪化して入院となりました。 ウコン は胆汁の分泌を盛んにして肝臓のはたらきを活発化するというメリットがありますが、過剰摂取や長期間の摂取で消化管に障害を起こすことがあります。

また、動物実験で大量摂取によって肝障害が発生することが判明しています。 消化管障害 や 肝障害 は、必ず発症するわけではないのです。

摂取量や体質、健康状態によるところが大きいが、万が一、異変があった場合は、直ちに摂取を中止して医師に相談しましょう。それから、胆汁管に障害がある人や、胆石の人は ウコン を摂取してはいけません。

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