キウイにたっぷりの水溶性食物繊維は腸の元気物質「酪酸」を増やして便秘解消する

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腸を元気にするなら「酪酸」が欠かせない

本サイトでも紹介している「便秘解消」のための食事でもわずかですが、便秘改善できない人もいます。主に、高齢者で運動量が極端に少ない、食べる量が少ないなどの方です。

便秘の解消のためには、腸の働きをよくすることが大切です。そこで最近、腸を元気にする物質として「酪酸」が注目を集めています。

酪酸とは、腸内細菌が作りたんさ出す短鎖脂肪酸という成分の一種です。酪酸は、腸内で主に2つの役割を果たします。

 

短鎖脂肪酸が主成分の乳酸菌発酵エキス「善玉元気」

 

1つめは、腸のエネルギー源としての働きです。酪酸は大腸においては1番め、小腸にとっては2番めに必要なエネルギー源です。

腸内で酪酸がたくさん作られれば、腸の細胞に多くのエネルギーが供給され、結果的に腸が元気に働けるようになります。

2つめは、整腸作用です。酪酸をはじめとする短銃脂肪酸が増えると腸内の酸性度が高まり、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は住みやすく、悪玉菌は住みにくい環境になります。その結果、腸内環境がよくなるのです。

酪酸は体内で作られる

このように腸を元気にし、腸内環境をよくする力がある酪酸ですが、実は口から摂取しても腸内に到達させることはできません。酪酸は、体内で作る必要があるのです。

そもそも、酪酸を含む短鎖脂肪酸はどのようにして体内で作られるのでしょうか。人問の腸内には、さまざまな細菌が常在しています。なかでも、酸素を嫌う「嫌気性菌」と呼ばれる菌は、食物繊維を発酵させ、単糖類と短鎖脂肪酸に分解する性質を持っています。

この嫌気性菌の働きによって短鎖脂肪酸が体内に作られます。酪酸をはじめとする短鎖脂肪酸は、水溶性食物繊維をエサにする腸内細菌の働きによって産生されます。つまり、酪酸は水溶性食物繊維をとることで、より多く作られるということです。そこでみなさんにぜひ食べていただきたい食品が「キウイ」なのです。

キウイが酪酸を増やす

前述したとおり、食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は、それぞれ違った働きをするので、両方をバランスよくとることが重要です。

理想的なバランスは「不溶性食物繊維2 :水溶性食物繊維1」です。しかし、私たちがよく食べるのは、水溶性食物繊維よりも不溶性食物繊維を多く含む食品がほとんどです。

また、水溶性食物繊維が多く含まれるのは、海藻やこんにゃく、大麦など、現代の食生活でとる機会が少ない食品ばかりです。

そのため、水溶性食物繊維は、意識してとらないと不足してしまう場合が多いのです。キウイには、水溶性食物繊維が多く含まれています。キウイはスーパーへ行けば1年を通して手に入りますし、調理の必要もなく、手軽に食べられるので、無理なく水溶性食物繊維を補うことができるのです。

さらにキウイには、腸内の酪酸の量を増やす可能性のあることが、2016年に開催された「第1回キウイフルーツの栄養および健康効果に関する国際シンポジウム」で発表され、話題になっています。

人問の腸内環境に似た環境を作り、そこにゴールドキウイ、グリーンキウイ、イヌリン(水溶性食物繊維の1つ)をそれぞれ添加して観察したところ、48時問後には2種類のキウイはいずれも、イヌリンと同じくらい酪酸の濃度を高めるという結果が出たのです。

過敏性腸症候群にもキウイが有効

キウイは便秘だけでなく、腸の病気の改善にも有効です。なかでもキウイは、過敏性腹症候群の人に最適な食材です。

過敏性腸症候群とは、検査をしても異常が認められないのにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛、腹部膨満感などの下腹部の不快な症状に悩まされる疾患です。過敏性腸症候群を引き起こす可能性がある食材はFODマップMAP(小腸内で消化・吸収されにくい糖類) と呼ばれ、牛乳リンゴ、パスタ、キノコ類などが挙げられます。

対して、キウイはオーストラリアのモナシユ大学が選定した、過敏性腸症候群の症状媛和に有効な低FODMAP食の1つに含まれているのです。

また、潰瘍性大腸炎の方にもキウイがおすすめです。潰瘍性大腸炎は、現在日本で23万4000人以上が罹患しているといわれ、指定難病に定められている病気の1つです。下痢や血便を主な症状として、よくなったり悪くなったりをくり返します。

実は潰瘍性大腸炎にかかった人の便は、健常者の便に比べて短鎖脂肪酸の濃度が低いことが指摘されています。つまり、潰瘍性大腸炎の患者さんの腸には、酪酸が足りていないのです。

そのため、潰瘍性大腸炎の治療には、腸内の酪酸を増加させる酪酸菌製剤が処方されています。加えて、キウイを日常的に食べれば、腸内の酪酸がさらに増えて、炎症を起こしている大腸粘膜の修復を助け、症状の改善に役立つでしょう。

酪酸が効果を発揮するのは、腸の健康だけではありません。免疫(病原体から体を守るしくみ) をコントロールしてアレルギー性疾患を抑えたり、血糖値をコントロールして糖尿病を改善したりする働きも期待できます。腸だけでなく、全身の健康維持のためにも、ぜひキウイを毎日の食卓に取り入れてみてください。

腸の元気物質 酪酸 を増やしてくれる朝食べる「キウイ」+オリーブオイル

 

 

 

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