骨粗しょう症

病気の原因と症状

骨粗しょう症とは、骨が軽石のようになり、たくさんの小さな孔が空いたようになってしまう病気です。骨に鬆(す)が入ったように中がスカスカになり、もろくなって、小さな衝撃でも骨折しやすくなります。

ガンや心臓病、脳卒中のように、直接、生命の危険となる病気ではないのですが、骨粗しょう症による骨折から寝たきりになってしまう人もいるのです。

骨は新陳代謝により、私たちの体の中では、繰り返し古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨がつくられています(骨形成)。しかし、この新陳代謝のバランスがくずれ、骨吸収が進んで骨形成が追いつかなくなると、骨がスカスカの状態になってしまうのです。

骨粗しょう症は男性にもみられますが、閉経による女性ホルモンの分泌の低下が骨密度を低下させるため、特に女性に多くなります。このような生理的な体の変化のほか、遺伝的要因や栄養不良、運動不足などの生活習慣も、骨粗しょう症の発症に大きく関係していることがわかっています。

女性の骨密度は18歳くらいでピークに達し、40歳代くらいまではほとんど一定ですが、その後は急速に低下していきます。骨をつくるのに必要なカルシウムは、腸から吸収されて骨に取り込まれますが、年をとると腸管からのカルシウムの吸収が悪くなってしまうのも骨密度が低下してしまう原因のひとつだといわれています。

このように、多くの人は年齢を重ねるとともに、骨密度が減ってしまいます。しかし、バランスのとれた食事や適度な運動を心がけることにより、骨密度の低下を防いだり、低下の速度を遅らせたりすることができるのです。

こちらのページには片足で1分間立つフラミンゴ運動が骨粗鬆症改善に役立つと紹介されています。ウォーキングやスクワット運動より手軽に出来てよさそうです。

骨粗しょう症の食事療法について

骨粗しょう症を予防するには、若い頃からカルシウムをじゅうぶんに摂って、運動を適度におこない、丈夫な骨をつくっておくことです。骨粗しょう症になっても、バランスの取れた食事で、骨密度の低下を遅らせます。

カルシウムをしっかり摂る

丈夫な骨をつくるのに必要なカルシウムは、牛乳や乳製品、小魚、海藻、緑黄色野菜などに多く含まれています。これらの食品の中でも、特に吸収が良いといわれているのが牛乳や乳製品に含まれているカルシウムです。

牛乳が体質に合わずお腹を下してしまうという人は、チーズ、ヨーグルトといった乳製品から摂取するとよいでしょう。

ビタミンDが豊富な食品を摂る

骨粗しょう症には、カルシウムと一緒にビタミンDを摂取することも大切です。ビタミンDには、カルシウムが腸から吸収されるのを助け、血液中のカルシウムが骨へ沈着する割合を高める働きがあります。

調理のコツ

カルシウムをじゅうぶんに摂れるメニューを考えます。小魚や大豆製品、小松菜、春菊、ニラなどの緑黄色野菜、それから、ひじきやわかめなどの海藻類にもカルシウムが豊富に含まれていますから、こういった食品を普段から摂りましょう。牛乳や乳製品をおやつに利用するのも良いです。

肥満

病気の原因と症状

肥満というのは、単に体重が多いということだけではありません。食事から体内に摂取されたエネルギーと、体を動かすことなどで消費されるエネルギーのバランスが問題となります。このバランスがくずれて、体内にエネルギーが余ると体脂肪に変わります。そして、その一部は脂肪組織へ蓄積されていくのです。このようにして、体脂肪量が異常に多くなった状態を肥満といいます。

例えば、体内に水分がたまってむくみがあったりと病的な状態で太って見えるような場合は、肥満ではありません。

標準体重や肥満度などという言葉をよく聞くと思いますが、肥満を正確に判定することはなかなか難しいものです。それは、人間の体脂肪を直接的に測定することができず、脂肪の量がわからなければそれが多いのか少ないのかが判断できないからです。

肥満を判定する方法として、日本肥満学会では、BMIが用いられていて、体重(kg)÷身長(m)÷身長の計算で、22が適正体重だとされています。

肥満の人は体脂肪量が増加している状態で、体が重い、歩きにくい、座りにくい、息切れがするというように、体を動かすのに不便なことが多いものです。

太っているくらいいいじゃない、と深く考えない人もいるかもしれませんが、肥満は本当は恐ろしい病気です。高血圧や糖尿病をはじめ、動脈硬化、高脂血症、脂肪肝、女性なら月経異常、子宮ガンや乳ガンなどの誘因となるのです。こういった病気にかかると、それに伴いさまざまな症状があらわれることになります。

肥満の食事療法について

脂肪が体内に異常に蓄積された状態の肥満の治療は、その脂肪を除去することです。体脂肪はエネルギーをたくさん貯蔵するエネルギーバンクのようになっているので、体脂肪を落とすには、体内にエネルギー不足の状態をつくることが必要です。体は、エネルギーが不足すれば、それを補うために体脂肪を分解してエネルギー源にするのです。

エネルギー不足の状態にするには、次の3つがあります。

  1. エネルギーが体に入る量を減らすこと、つまり、食事の量を減らして摂取エネルギーを制限します。
  2. エネルギーが体から出る量を増やすこと、これは運動によって消費エネルギーを増やします。
  3. 1と2の両方を併用します。

最も合理的で勧められているのは、3つめの両方とも行う方法です。

食事療法だけ行うと栄養素が不足して健康を害する可能性があります。しかも、体重の減少がストップしたり、リバウンドしてしまったりということも考えられます。また、運動療法だけ行っても、なかなか減量するのが難しいこともありますから、やはり、食事も運動も併せて行うことが望ましくなります。

腹八分目にしておく

エネルギー量を、いつもの食事の8割くらい(腹八分目)に抑えます。こうすると、始めてからしばらくは空腹感が起こり辛いこともありますが、それを乗り越えられるかが勝負です。そのうちに、体が少食に慣れてきます。

低カロリーの食物繊維を摂る

食物繊維は、ほとんどエネルギーを産生しません。しかも、糖質や脂質の吸収を遅らせて、体脂肪の合成を促進するインスリンの分泌を緩やかにします。食物繊維が多い食品だとよく噛まないと飲み込めないので、自然に食べるのに時間がかかり、早食いを直すことができます。

栄養バランスを保ち、必要量を摂る

健康を維持しながら痩せるためには、栄養素はすべて必要です。脂抜きダイエットや主食抜きダイエットなどといいますが、こうして脂質や糖質、タンパク質などをカットすることは良くありません。各種ビタミン、ミネラルもしっかり摂りましょう。

食事を夜型にしない

朝食にしっかり食べたのと、夕食のまとめ食いや遅い時間の夜型の食事では、体重の変化が違ってきます。夜にまとめて食べたり、遅い時間に食べる、食べてすぐ寝るなどは太りやすいので、朝食や昼食にしっかり食べ、夕食は軽く、夜食はとらないのが理想です。

調理のコツ

低エネルギーにしますが、見た目にボリューム感が出るような調理や盛りつけを考えます。炭水化物、糖質は少なめに、肉や魚などは脂肪が少ない種類や部位を選びます。できるだけ油を使わない調理法にしましょう。

関連サイト(外部リンク)

サイト名:Q&A形式によるダイエット情報
URL:http://qa-diet.info/

痛風

病気の原因と症状

痛風は、体の中に尿酸がたまり、それらが結晶になって、激しい関節炎を伴う病気です。放っておくと激しい関節の痛みを繰り返したり、体のあちこちに結節ができたり、腎臓が悪くなったりする重大な病気でもあります。腎炎ネフローゼ腎不全→人工透析が最悪のパターンです。

この痛風は、かつては帝王病などと比喩され、贅沢な食事ができる人だけの病気だとされていました。しかし、日本の食生活はとても豊かになり、欧米化が進んだため、痛風になる人が増えたのです。

血液の中に尿酸(にょうさん)という物質が含まれているのですが、病気の原因は尿酸が異常に増えることで、痛風が起きる前には、血液の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が長く続きます。そのまま放っておくと、尿酸は関節や腎臓に付着して、炎症発作を起こします。突然、足の親指のつけ根などの関節が赤く腫れて痛くなります。その痛みはとても激しく、耐えがたいほどの痛みだといいます。

この痛風発作は、たいていの場合、1週間から2週間で次第におさまって、しばらくすると全く症状がなくなります。ただし、1年以内に同じような発作を起こしやすいので油断は禁物です。繰り返しているうちに、発作の間隔は短くなってきます。そして、関節の痛みだけでなく、関節の周りや耳や手の甲などに尿酸の塊のしこりができたり、腎臓が悪くなったり、尿路結石ができたりする人もいます。

急性から慢性になりやすく、最終的には重症の慢性痛風になる可能性も高いので、放置しておくのは危険です。

痛風の食事療法について

痛風の原因となっている尿酸の代謝を改善することが、予防や治療になります。薬剤を用いての治療もされますが、痛風の予防や悪化、再発を防ぐには、食事療法が必要です。

プリン体を制限する

プリン体は、食物全般に含まれる成分で、尿酸が合成される時に材料になります。ですから、まずはこのプリン体の摂取量を減らします。代謝の活発な組織に多く含まれているので、肉や魚介類の内臓類は避けましょう。

タンパク質を摂り過ぎない

卵、乳製品を除いたタンパク質食品には、一般にプリン体が多く含まれています。普段、主食を食べずにおかずばかり食べている人は、タンパク質の摂取が多くなりがちなので気をつけましょう。

アルコール類を禁止する

アルコールは高エネルギーであり、飲み過ぎると酵素による調節が低下して、尿酸の排泄が悪くなります。アルコールの中でも、ビールや発泡酒は特にプリン体が多く含まれているので気をつけましょう。ただし、近頃は低プリン体で、プリン体ゼロなどとうたわれる商品も増えています。

水分を摂って尿酸を排泄する

水分の摂取量を増やし、尿量を増やして尿酸の排泄を助けるために、普段から水分をよく摂るようにしましょう。ただし、砂糖入りの飲料はダメです。糖分が増えると肥満を助長し、尿酸ができやすくなるためです。

調理のコツ

プリン体が多く含まれる肉や魚介類は摂り過ぎないようにして、内臓類は避けます。動物性脂肪は控え、植物性の油を使います。砂糖の入った飲料や菓子などは控え、エネルギーの摂り過ぎに注意します。アルコールは基本的に禁止です。血圧が高くなくても、薄味にしておきます。

関連サイト(外部リンク)

サイト名:成人病のわかれ道、体脂肪率30%のライン | かくれ肥満のための知識と肥満の減らし方
http://metaboliz.net/hidden/archives/37

「生活習慣病」と呼び方が変わりつつありますが、体脂肪率30%以上になることで増える成人病には、糖尿病、高血圧、高脂血症、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、脂肪肝、胆石症、痛風、骨粗鬆症、関節障害、大腸ガン、子宮体ガン、乳ガンなどがあり、放置すると、寝たきりになったり、最終的には死に至るといった深刻な結果を招く可能性が大きく、たかがかくれ肥満とあなどると、取り返しのつかないことになります。

貧血

病気の原因と症状

血液中の赤血球やヘモグロビン濃度が低下して、酸素を全身へ運ぶ力が低下している状態を貧血といいます。ヘモグロビンというのは、赤血球の主な成分であり、ヘムという鉄を含んだ色素とタンパク質の一種が結合してできています。

貧血は原因によっていくつかの種類に分けられます。赤血球の産生の障害や破壊の亢進、また出血などの原因が考えられ、いちばん多いのは鉄欠乏性貧血といわれる貧血で、そのほか、失血性貧血、溶血性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血・葉酸欠乏性貧血、再生不良性貧血などがあります。

貧血になると酸素が欠乏し、ヘモグロビンが減少して皮膚や爪が白っぽくなります。酸素をなんとかして運ぼうとするので、動悸や息切れも起こったりします。

貧血の食事療法について

貧血にはいくつかの種類がありますが、どの貧血についても、赤血球の産生に良い条件をつくることがポイントとなります。そのために食事療法が必要ですが、鉄欠乏性貧血やビタミンB12・葉酸欠乏性貧血には特に効果的です。

吸収の良いヘム鉄を摂取する

まずは、ヘモグロビンの重要な成分である鉄を増やすことです。
食品に含まれている鉄には、その状態によって2種類あります。そのうち、肉や魚などの動物性食品に含まれるものを「ヘム鉄」といいます。一方、穀類や緑黄色野菜に多く含まれるものを「非ヘム鉄」といいます。ヘム鉄は、非ヘム鉄よりも5倍ほど吸収率が高いので、効率良く鉄分を摂るには、腸管からの吸収率の良いヘム鉄のほうが良いです。

良質なタンパク質を摂取する

タンパク質が不足すると骨髄での血液をつくる機能が低下する危険がありますし、ヘモグロビンは鉄と同時にタンパク質からできているので、タンパク質をしっかり摂る必要があります。肉や魚貝類のタンパク質なら、吸収の良くない非ヘム鉄の吸収を助けるはたらきがあります。

胃酸の分泌を刺激する

胃の粘膜が刺激されて胃酸の分泌が亢進すると、鉄の吸収率がアップします。ですから、この作用がある酢や柑橘類などを多く摂りましょう。

タンニンを摂り過ぎないようにする

コーヒーや紅茶、緑茶などには、タンニンが多く含まれています。タンニンは、鉄と結合すると水に溶けず吸収が悪くなります。食後にはこれらの飲みものが欲しくなりますが、飲み過ぎないように気をつけましょう。

調理のコツ

動物性タンパク質食品なら、肉や魚の内臓類、貝類などを使います。納豆や高野豆腐などの大豆製品、緑黄色野菜、海藻類にも鉄分が含まれているので、メニューにとりいれると良いでしょう。また、ビタミンCが不足しないよう、果物も摂取しましょう。

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甲状腺の病気

病気の原因と症状

甲状腺(こうじょうせん)とは、頸部の前側ののどぼとけのすぐ下にある内分泌腺です。羽をひろげた蝶のようなかたちをしていて、正常だと甲状腺は柔らかいので手で触ってもわかりませんが、異常があって腫れると、外から首を見ただけで腫れているのがわかるようになります。

甲状腺のはたらきは、体の新陳代謝を調節するための甲状腺ホルモンをつくり、分泌することです。甲状腺ホルモンには、新陳代謝を促進して私たちが活動するために必要なエネルギーをつくったり、脳や内臓を活性化したりと、大切なはたらきがあります。ですが、この甲状腺ホルモンの量は、多すぎても良くないし、逆に少なすぎても良くありません。そこで、甲状腺ホルモンを調節するためには脳から指令が出され、一定量を保つために甲状腺刺激ホルモン(TSH)が放出されるのです。

甲状腺の病気には、次のようなものがあります。

  • 甲状腺機能亢進症
  • 甲状腺ホルモンが多い状態

  • 甲状腺機能低下症
  • 甲状腺ホルモンが少ない状態

  • 甲状腺ガン
  • 甲状腺に良性または悪性の腫瘍ができた状態

甲状腺機能亢進症は、別名「バセドウ病」ともいわれます。一方の甲状腺機能低下症は、別名「橋本病」ともいわれます。また、甲状腺ガンの種類には、乳頭ガン、濾胞(ろほう)ガン、髄様(ずいよう)ガン、未分化ガン、悪性リンパ腫などがあります。

甲状腺ホルモンの分泌のバランスが崩れると、さまざまな症状があらわれてきます。甲状腺ホルモンの量が多くなると、新陳代謝が活発になりすぎてたくさん汗をかいたり、食欲旺盛でも体重が減少します。また、疲れやすく、一日中動悸が続いたりもします。逆に甲状腺ホルモンの量が少なくなると、新陳代謝が悪くなり、寒気がしたり、皮膚が乾燥したり、食欲がなくでも体重が増えてきます。また、体がだるく無気力になって、いつも眠気を感じるようになります。

甲状腺の病気(甲状腺機能亢進症)の食事療法について

甲状腺機能亢進症では、代謝が亢進しているために消費するエネルギーが大きく、体内に蓄えられている脂肪やタンパク質の分解が進みます。ですから、必要なビタミンやミネラルの量も普段より多めになります。食事は代謝の変化に対応できるようにします。

消費量の増加に合わせエネルギーを補給する

代謝が亢進するので基礎代謝が進み、消費されるエネルギーも大きくなるので、その分多めに食べなければなりません。発症当初は異常に食欲があって、たくさん食べても体重が増えない状態です。快方に向かってくると、食欲も体重も次第に戻ってきます。

栄養をバランス良くじゅうぶん補給する

亢進しているエネルギーの代謝に見合うだけのビタミン、ミネラルを摂るようにします。タンパク質の分解も亢進しているので、さまざまな食品をまんべんなく摂るようにし、特に、乳製品と緑黄色野菜を積極的に摂ります。

ヨウ素(ヨード)を控える

甲状腺から分泌されるホルモンの主原料になっているのはヨウ素(ヨード)です。ヨウ素が多く含まれている海藻類の摂取を控え、ホルモンの分泌を抑えます。

調理のコツ

食事の量を増やしますが、バランス良く組み合わせたメニューにします。

わかめやひじき、昆布、海苔などの海藻類は、ヨウ素(ヨード)が多く含まれているので、できるだけ避けましょう。ほうれん草、小松菜、にんじんなどの緑黄色野菜は、お浸しや炒めものにして、不足しないように摂取しましょう。

腎不全

病気の原因と症状

腎臓の機能が低下し、本来の腎臓の働きである、体内の老廃物の除去や尿の排出ができなくなった状態を腎不全といいます。腎不全には、急激に起こる急性腎不全と、慢性に経過して起こる慢性腎不全があります。

急性腎不全

数日、または数週間くらいのうちに急激に起こります。その原因には、糸球体腎炎によるもの、交通事故などで大量に出血したり心臓障害などから起こるもの、尿管や膀胱(ぼうこう)などの過程で尿が止まってしまったことなどが考えられます。

初期症状として、尿の量が著しく減少することがあります。そのほかにも、むくみや倦怠感、嘔吐などの尿毒症という症状もあらわれるようになります。これらは早期に治療することが重要になり、それが病後の経過を左右するのです。原因によっては回復できることもあります。

尿量が少ない時期には水分と塩分の制限を厳重におこない、安静にしていなければなりませんが、尿量が戻ってきたら適度な水分の補給やカロリーの補給などが必要になります。

慢性腎不全

慢性腎炎は、慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群、糖尿病性腎症などから移行することが多く、徐々に病気が進行し、最終的には腎臓の機能が果たされなくなります。

進行すると一時的に尿量は増えますが、さらに進行すると、やがて尿量は減少し、ついには、まったく尿が出ない無尿の状態になります。尿毒症の症状もあらわれてきます。
そして、末期になると、人工透析というとてもつらい治療を生涯していかなくてはなりません。

病気の悪化と進行を防ぐためには、長期にわたる毎日の食事療法が重要となります。適切なタンパク質量の制限、エネルギーの補給、塩分の制限が中心です。

腎不全の食事療法について

腎不全になると、腎臓の機能は著しく低下します。残念ながら、現在の治療法では、低下してしまった機能を元の状態に戻すことはできないのです。ですから、限られた機能の中でいかに体の恒常性を保ち、病状の悪化や進行を防ぐかが食事療法の目的となります。もちろん、薬も用いられますが、安静を保ちながら食事療法をおこなうことが基本の治療法です。

タンパク質を調節する

タンパク質は腎臓の機能にあわせて調節します。タンパク質を制限する目的は、タンパク質が分解されたとき老廃物として出てくる尿素、尿酸、カリウム、リンなどの産生を低下させ、これらが蓄積されないようにするためです。蓄積されてしまうと尿毒症があらわれ、腎不全の末期症状となります。

特殊食品でエネルギーをアップする

エネルギーの摂取が不足すると、タンパク質でできている筋肉や内臓の分解が亢進し、タンパク質が単にエネルギー源として利用されます。そして、分解されて生じた老廃物が体内に蓄積されます。

タンパク質を制限し、エネルギー量を増やすと、糖質と脂質の摂取量は多くなります。しかし、普通の食事から摂るにはなかなか難しいので、医療用に開発された特殊用途食品を利用します。

減塩食にする

食塩の量は、高血圧やむくみ、心臓肥大の有無などによって決められます。尿量が極端に少なくなったら、食塩の制限がかなり厳しくなるので、減塩食をおいしくするために、調理の工夫が大切です。

カリウムを制限する

腎機能の低下からカリウムの排泄が悪くなるので、カリウムが多く含まれている生野菜や果物を控えます。カリウムは水に溶けやすい性質なので、生野菜を水によく浸す、茹でこぼすなどします。

調理のコツ

急性腎不全の場合

透析が積極的に行われるため、入院治療になります。水分、塩分、タンパク質、カリウムが制限されます。エネルギーの確保が必要で、エネルギー不足を防ぐために特殊食品が用いられます。

慢性腎不全の場合

腎機能の程度に合わせタンパク質の制限が必要になります。揚げものや炒めものは油でエネルギーアップになり、水分が減らせるのでおすすめです。おやつに高エネルギーの特殊食品を利用するのも良いです。

ネフローゼ症候群

病気の原因と症状

腎臓にある糸球体という部分に障害が起こり、本来ならば体の中に取り込まれなくてはならないはずのタンパク質が尿の中に出てしまうものをネフローゼ症候群といいます。多量のタンパク尿が出て、それに伴い、低タンパク血症(血中のタンパク質が不足する)やひどいむくみ、高脂血症などといった症状があらわれている状態です。

この原因には、腎炎から移行してくる一次性のものと、糖尿病や痛風などのほかの病気から起こる二次性のものがあります。患者は、二次性よりも一次性のネフローゼ症候群の人のほうが多くて、全体の7割~8割くらいを占めているといわれています。

このネフローゼ症候群は、薬の服用や食事療法でしっかり経過をみていけば、昔と比べて恐ろしい病気ではありませんが、長期にわたる病気であって、きちんとした管理が必要になります。

タンパク質が不足すると倦怠感があったり免疫力が低下して、細菌に感染する頻度も高くなってしまいます。安静と保温を基本におき、さらに、症状にしたがって適度なタンパク質の補給、塩分制限、水分量の調節など食事の管理が重要となります。

ネフローゼ症候群の食事療法について

発症した当初や病状が著しく悪いとき、または病状が悪化したときには、食事療法を厳しくおこなわなければなりません。どの場合でもネフローゼ症候群の人にみられる症状で、低タンパク血症やむくみ、高脂血症に対しての治療が食事療法の目的です。

適度にタンパク質を摂る

ネフローゼ症候群において、かつては、無条件に高タンパク質食がすすめられていましたが、近年では、常に高タンパク質食にするのではなく、むくみや低タンパク血症の程度、そして、腎機能の状態にあわせてタンパク質の量を調整するようになりました。

食塩を制限する

むくみの治療は、利尿剤の普及によって以前よりも容易になっています。ですから、長期にわたり厳重な食塩の制限をすることはなくなってきています。しかし、食塩を自由に摂るようになると利尿剤の効果がじゅうぶんに果たされず、なかなかむくみが取れなくなるので、ある程度の制限は必要です。

水分を控える

尿量が少なくなり、むくみが著しいときには、水分を厳しく制限します。利尿剤を服用しているときには、脱水状態にならないように水分を補給します。

調理のコツ

以前はタンパク質食品を多めに摂るとされていましたが、今ではむしろ、良質のタンパク質を摂り過ぎないようにすることが大切になっています。肉や魚は、脂肪の少ない部位を選んで調理しましょう。

塩分や水分は、症状によっては厳しい制限が必要になるので、汁物など水分の多いものは控えるようにし、焼きもの、炒めものや揚げものなど工夫して食べやすく調理してみましょう。

腎炎

病気の原因と症状

腎臓が炎症を起こす病気を腎炎といい、腎炎には急性腎炎と慢性腎炎があります。

急性腎炎は急性糸球体腎炎とも呼ばれ、これは小児に多く、比較的治りやすいとされている病気です。ただし、成人の場合ではここから慢性腎炎へと移行することもあり、さらに慢性腎不全となることもあるといいます。

急性腎炎の症状には、血尿やむくみ、高血圧などがあり、風邪や扁桃炎、中耳炎といった合併症を起こすこともあります。この急性腎炎の原因となるのは、溶連菌(ようれんきん)と呼ばれる細菌の感染です。溶連菌は、正式には溶血性連鎖球菌といいますが、おもにのど感染して、咽頭炎や扁桃炎を引き起こしたり、小さな紅い発疹を伴うこともあります。しかし、菌そのものが腎臓に炎症を起こすのではなく、菌の感染がアレルギーとなって、その刺激が炎症を起こす仕組みとなっていて複雑です。発病して初期では、体を安静にすること、そして、水分、塩分、タンパク質の制限が必要になります。

一方、慢性腎炎は慢性糸球体腎炎と呼ばれ、症状や経過によって、次のように分けられます。

  • 潜在型
  • 軽度の血尿やタンパク尿がありますが、血圧は正常、自覚症状はほぼありません。

  • 高血圧型
  • タンパク尿や肉眼でわかる血尿が出て、むくみもあります。また、疲れやすく高血圧や動悸があらわれます。

  • ネフローゼ型
  • 多量のタンパク尿とむくみがひどく、高血圧がみられます。

  • 進行型
  • 腎機能の低下が著しく、むくみや疲労感のほか、貧血、息切れ、吐き気などもあります。症状の進行に伴い、尿量が減少していきます。

腎炎の食事療法について

先のように、腎炎には急性と慢性があって、それぞれの状態によって食事療法の内容は異なります。これらの食事療法には医師や栄養士の指導を受けなければならず、状態に適した食事管理が必要になります。

塩分をコントロールする

腎臓病ではどんな場合にも食塩の調節が必要です。急性では、かなり厳しく減塩を行い、むくみや高血圧の悪化を防ぎます。慢性では、むくみや高血圧の程度により食塩の摂取量を調節します。

タンパク質を制限する

急性の場合、回復するまでは厳しい制限があり、肉、魚、卵といったタンパク質食品がほとんど食べられません。慢性の場合では、それぞれのタイプによって、制限量が変わってきます。進行型でも腎機能の低下の程度に応じ、制限します。

水分制限は必要に応じてする

むくみが著しかったり、乏尿の場合には、水分の制限をします。飲料水のほか、汁物や水分の多い料理も制限の対象です。しかし、利尿剤が処方されるなどで、長期に水分制限することが無い場合もあります。

カリウムを制限する

腎機能が低下してくると、高カリウム血症がみられることがあります。この場合には、カリウムを多く含む生野菜、果物などの食品の摂取を減らします。なお、降圧剤などを服用していると低カリウム血症になることがあるので、逆にカリウムの多い食品を摂取することになります。

調理のコツ

タンパク質の制限がある場合には、肉や魚、卵、大豆製品、牛乳などがあまり食べられないので、これらを主食や野菜とうまく組み合わせボリューム感を出すと良いです。タンパク質が少ない分、エネルギーが減らないように、油や砂糖をうまく使い工夫しましょう。
塩分の制限があるときには、加工食品などの摂取にも気をつけ、薄味にします。また、制限が無い場合にも、摂り過ぎないことが大事です。

膵炎(すいえん)

病気の原因と症状

消化酵素を分泌し、私たちが食べたものが消化・吸収されていくうえで、とても重要な役割をしている膵臓(すいぞう)が炎症を起こすことを膵炎(すいえん)といいます。

膵炎には急性膵炎と慢性膵炎がありますが、原因としては、胆石症、細菌感染、アルコールの過剰な摂取、高脂血症、糖尿病などからくるものなどが考えられています。暴飲暴食は特に避けなければならないことで、ファーストフードやカップめんを例えば毎日食べていたり、アルコールをたくさん飲むような人は注意が必要です。膵炎にかかる可能性が高くなります。

急性膵炎は、文字どおり急激に膵臓が炎症を起こす病気で、激しい腹痛や嘔吐、発熱といった症状があらわれます。症状が重い場合、ショック状態になることもあります。

慢性膵炎の場合は、腹痛のほか、食欲不振や吐き気などの症状があります。人間ドックなどの検査で、血液中のアミラーゼという酵素の値が上昇して、発見されることもあるといいます。

膵炎の食事療法について

膵炎にかかってしまったら、しばらくは入院治療が必要になります。急性期では、飲食はいっさい禁止です。食べものや飲みものが少しでも胃に入ると胃液が分泌され、膵臓を刺激する消化ホルモンが働き始めてしまいます。炎症が消失して回復期に入ったら食事を開始しますが、流動食から始め、粥食、通常食へと移行するようにします。

エネルギー源は主に糖質で摂る

脂質やタンパク質を消化する主な消化酵素の多くは膵液に含まれているので、膵液の分泌を活性化させ膵炎の回復が遅れないよう、入院中は脂質とタンパク質を制限します。そして、この間のエネルギー源は、主に糖質で摂ります。

安定期にはしっかり食べる

膵炎の症状が落ち着き安定期に入ったら、脂質の少ないタンパク質を摂ります。膵炎のあまりの激痛に、食欲が無くなって食事量が減り、栄養状態が悪くなることもありますが、タンパク質が不足すると膵臓の回復が悪くなって悪循環となってしまいます。

消化の良い食品や調理法にする

たくさんの消化酵素が含まれている膵液の分泌量が低下すると、全体の消化能力も低下してしまいます。状態が安定しても、できるだけ脂質の含有が少なくて、消化の良い食品や調理法を選びましょう。

刺激物は避け、アルコールは中止する

香辛料、カフェイン飲料や炭酸飲料といった刺激物は、二次的ですが膵炎を悪化させるので避けましょう。また、アルコールも膵炎を悪化させるので控えます。

調理のコツ

調理法は、煮る、茹でる、蒸すなど、油を使わない調理法を選びましょう。材料も脂肪が少ないものを選んで、消化の良いメニューを考えます。