薬を使わない食事療法(病気・症状別)

ついつい飲み過ぎてしまう酒飲みの 肝臓 を保護する ミルクシスル

主成分
シリビニン(シリマリンン)
効能
  • 肝機能の強化
  • 抗酸化作用
副作用
経口摂取では報告されていない
注意
乳がん患者は避ける
Milk thistle

Milk thistle

伝統あるヨーロッパの民間薬

職場仲間や得意先とのつきあいでお酒を飲む機会の多い人が心配なのが 肝臓 でしょう。そんな人をターゲットに「肝機能の強化」「アルコール性肝炎の予防」「脂肪肝に効く」などと宣伝されているのが、 ミルクシスル 。別名「オオアザミ」「マリアアザミ」とも言われます。

ミルクシスル は、ヨーロッパ、アフリカ、日本に生息する植物です。高さ50〜21 0 cmで、実はトゲが多く、花は赤紫色です。

ヨーロッパでは2000 年以上前から食品と医薬品の両方で使用されてきました。20 世紀に入るとイギリスで ミルクシスル が人気となり、家庭菜園で育てられるようになりました。

人々は、 ミルクシスル の葉をレタスのように、その茎をアスパラガスのように食べました。

酔った実を熱湯で抽出し、まるでコーヒーを楽しむように飲みました。そして ミルクシスル の種子と葉は、費痘の治療や乳量を増やす目的でも利用されました。

こうして ミルクシスル は、人気植物として不動の地位を築きました。1960年代になると、 ミルクシスル 人気に着目したドイツの研究者が、その有効成分の分析を開始しました。 ミルクシスル を、ある基準に抽出したものを「シリマリン」と呼んでいます。 シリマリン は、単一の物質ではなく、少なくとも4 つのフラボノイド化合物の混合物です。そのなかで、最強の効果をしめすのが、 シリビニン です。 ミルクシスル は アルコール性肝炎 、 肝硬変 、 ウィルス性肝炎 だけでなく、 肝臓 を薬物によるダメージから守るのにも利用されるようになりました。

そして1986年、ドイツの薬用植物の評価委員会であるコミッションE は、肝臓病の治療法として ミルクシスル 抽出物の経口での摂取を承認しました。

肝臓 は特別な臓器

肝臓は、手術でその5分の4を切り取ってもやがてもとの大きさにもどります。これは、他の臓器には見られない復元力です。

肝臓が「人体の化学工場」と言われるのは、ここで多くの化学反応が起きているからです。

肝臓の仕事をあげてみましょう。1つめは、エネルギー貯蔵物質のグリコーゲンをつくり、必要に応じてブドウ糖に分解して血液中に放出することで、血糖値を調節します。
2つめは、人体を構成するアミノ酸、タンパク質、脂肪をつくります。糖類から脂肪をつくったり、アミノ酸や脂肪から糖類をつくつています。

3つめは、タンパク質を分解したときにできる老廃物アンモニアを処理したり、古くなったホルモンを破壊します。胆汁をつくり、必要に応じて放出します。

4つめは、アルコールを分解したり、薬などの有毒物質を無毒化し、胆汁のなかに排泄します。この胆汁が胆嚢に貯えられます。胆汁は食事のタイミングにあわせて腸管に放出され、脂肪の消化を助けます。ヒトが健康に生きるのに、「化学工場」である肝臓の円滑な運営が欠かせないことがわかります。

グルタチオン値を高める

ミルクシスル は、肝臓における解毒を促進するだけでなく、肝臓を守るはたらきもあります。たとえば、毒キノコの タマゴテングタケ によって発生する 中毒 は、 ミルクシスル の抽出物を静脈注射することでおさまります。

動物実験で ミルクシスル の抽出物が、有機溶媒のトルエンから解熱鎮痛剤 アセトアミノフエン にいたるまで、広範囲にわたる有害物質の肝臓による解毒を進めることが確認されています。 ミルクシスル の有効成分は フラボノイド ですから、 抗酸化物質 としてもはたらき、 肝細胞 の膜を活性酸素によるダメージから守っています。

ミルクシスル は、ビタミンC やビタミンE の10倍も強力な 抗酸化物質 です。それに加えて、 ミルクシスル は、 肝臓 における解毒の主役であるグルタチオン値を35 %も上昇させます。

また、毒物を押しのけて肝細胞にくつつくことで、肝臓を毒物から守ったり、壊れた肝細胞の再生を促します。

肝炎や肝硬変を改善

ドイツのマギウ口数授は、急性ウィルス性肝炎患者を対象とする ミルクシスル の効果をドイツの医学雑誌に発表しました。

まず、55人の急性ウィルス性肝炎 患者を2 グループに分けました。28人には1回 70 mg、の ミルクシスル を1日3 回、21 日間服用してもらいましたた。

残りの27 人には同じ期間、偽薬を摂取してもらいましたた。肝障害の程度は GPT 値や GOT 値であらわすことができるから、これらの億を調べることで、両グループの肝障害の程度をくらべることができます。

ミルクシスルを服用したグループは、偽薬グループにくらべて、 GPT 値や GOT 値が低かった。このことから ミルクシスル は、 急性ウィルス性肝炎 に効果があることがわかります。

慢性肝炎 への 効果 も調べられていますが、治験結果は「効く」と「効かない」の両方が発表されています。

アルコール性肝炎 に 効く ことがいくつもの治験で確認されています。ここでは、1981年にフィンランド兵士を対象に行われた治験を紹介します。

アルコール性肝炎にかかっていた兵士106人を、 ミルクシスル と 偽薬 の2 グループに分け、4週間摂取してもらいましたた。結果は、 GPT  値やGOT 値は ミルクシスル グループ のほうが低かっただけでなく、肝臓の生検からも肝臓組織の状態が改善したことが認められました。

一方、フランスのトリンケット博士は、1 1 6人を対象に3 ヶ月間にわたる治験を行い、 ミルクシスル はアルコール性肝炎に効かないと発表しました。

しかし、この結論を鵜呑みにすることはできません。なぜなら、この治験期間中、大部分の被験者が アルコール摂取量 を減らし、半数近くが飲酒をすっかり止めたという事実があるからです。

アルコール依存症患者が「飲酒を止める」ほうが、「ミルクシスルを摂取する」より肝炎の改善に効果があるのは言うまでもありません。

肝硬変 患者 を対象にした治験もいくつか行われています。その1つは、170人を対象に4年間にわたって生存率を調べたものです。

偽薬グループの生存率が38 %だつたのに対し、 ミルクシスル グループの生存率は58 %と格投に高かったのです。

多くの薬が肝臓にダメージを与えたり、炎症を発生させます。ところが、 ミルクシスル は、アセトアミノフエン 、 アルコール 、 フェノチアジン 、フェニトイン などの薬物によって引き起こされる毒性から肝臓を守ることが報告されています。

このためヨーロッパでは、患者が肝臓に毒性を持つ薬物を処方されたときに、肝臓を守るために ミルクシスル が追加されています。ところが、222人を対象に12週間にわたる治験で、 ミルクシスル はアルツハイマー治療薬コグネックス(タクリン) による 肝臓 の 炎症 を抑える ことはできなかったと報告されています。

1回200mgを摂取70 %のシリマリンを含むミルクシスルを1回200 mg、1日2 ~3回摂るのが標準的です。

動物実験で、 ミルクシスル の 毒性 は、用量を増やし、期間を長くしても確認されていません。

270 0人近くを対象にした治験でも、ごく稀に胃腸障害が起こる程度でした。食品として長く利用されてきたことから、 ミルクシスル は、妊婦や授乳期の女性にも安全とされています。また、薬と併用しても相互作用は見当たりません。

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