真っ赤なトマトには、赤い色素のリコピンが含まれています。この赤い色素がリコピンで、リコピンは強力な抗酸化力を持っています。

なぜ、トマトはこのリコピンを持つのでしょうか?それは、日光を浴びて熟するとき、紫外線から自分を守るためだといわれています。活性酸素を無害にするリコピンの効果は、ディッセルドルフ大学の実験で確認されています。

リコピンは、あとで紹介するβ-カロテンの2倍、ビタミンE の100倍の抗酸化力があることが分かっています。「トマトが赤くなると、医者が青くなる」ヨーロッパにはこんなことわざがあります。

これはトマトのリコピンの効果をあらわしています。リコピンが発見される以前から、その効果は知られていたわけです。リコピンが無害にする酸素は、一重項酸素です。活性酸素が原因となる目の障害にとても有効で、視覚機能の維持に大切な役割を果たしていることが分かっています。

また、リコピンは抗ガン作用もあります。イタリアの実験では、トマトとトマト料理をたくさん食べる人は、消化器系のガン(口腔、咽喉、胃、大腸、直腸など)を発症する人が少なかったのです。

アメリカやノルウェーの調査でも、同じような結果が出ています。これもリコピンのおかげなのですが、生野菜より加工食品からのほうが吸収されやすい性質があります。赤いといえば、スイカの赤い身の部分にも、リコピンが含まれています。

スイカはほとんどが水分ですが、昔から民間治療薬として使われてきた歴史があります。利尿作用は腎臓病に、焼いた皮は口内炎に使われてきたのです。いろいろなデータはありますが、真っ赤に完熟したトマト100gには500㎍程度、スイカの赤い身の部分100gには4500㎍程度のリコピンが含まれているとされています。