薬草で痰を除くことから始める
喘息の主要症状は「咳き込み発作」です。咳き込み発作を起こさせる直接的原因は、気管が知覚高進状態になることからで、その知覚高進を起こす因子の代表が「痰」です。
咳が出るのももとはといえば、この痰を排泄しようとするためです。だから咳をむやみに止めてしまうことは、痰を喉に詰まらせることになり危険です。とはいえ激しい咳き込みは、その自然の防衛作用をオーバーしたものであって、体力をひどく消耗してしまいます。
そこで、まずは極力、痰を除いて咳を軽くし、呼吸を楽にすることが先決です。気管の働きを減退させないで、痰の排泄をスムーズにするためには去痰効果のある薬草を利用します。
昔から痰の排泄をスムーズにするのは、去痰効果のある薬草を利用することです。昔から利用されてきたのは、キキョウ及びツリガネニンジンです。
いずれもキキョウ科の植物で根を用います。
もともと痰ができるのは、気管粘膜に炎症がおこったり、その前段階になっていて、分泌が異常に多くなるためです。だから、呼吸困難や咳き込みの発作を根本的に解消させるためには、気管粘膜を健全にしなければいけません。
ところで、炎症はどうしておこるかというと、体細胞の抵抗力が弱っているところに、血液中の毒素が働きかけるためです。血液中に毒素が入っているということは、血液が酸毒化されているということで、体細胞の抵抗力が弱っているのも、もとを正せば、この酸毒化した血液に養われていることが原因です。したがって、炎症のおこりにくい体にするためには、早急に血液浄化をはからなければなりません。
喘息は「甘やかされること・ストレス」が大好き
喘息の咳き込みをおこさせる因子は、痰以外にもいろいろあります。まず第一に、精神的ストレス。強いストレスが加わって、気管の知覚高進が大変おきやすくなるのです。
しかし、おもしろいことに、喘息患者も戦場では発作をおこしません。極度の緊張状態では、呼吸筋の反射が抑制されるのです。
結局、一方で精神的ストレスがかかり、他方でいかほどか甘えることが許されているという不安定な状況のもとで、喘息発作はあらわれる、ということになります。
それから、一般によく知られているのは、気象条件の影響。やはり、気圧が下がり、加えて温暖・寒冷前線が通過する時などの、気象条件が不安定な時におこりやすくなります。
さらに、ホルモンの分泌も関係しています。喘息という病気の性格を知るうえで興味深いことは、副腎の発育が悪い人は喘息になりやすく、副腎がほとんど働かなくなるアジソン病では喘息はおこらない、という事実があります。
副腎は体の防衛力の根源的存在です。喘息になることは好ましいことではないのですが、喘息発作をおこすほどの抵抗性はもっているのですから、正しい治療さえすれば、意外と簡単に根治できてしまうのです。
アレルギー体質の人が喘息になりやすい理由
血液が汚れていると、それだけ痰が出やすくなります。ところが、炎症がおこりにくく、気管の知覚高進がおこりにくい人では、痰は出ても喘息にはなりにくいのです。
つまり、喘息になりやすい人と、なりにくい人がいるのです。喘息になりやすいのは、浸出性体質の人です。いわゆるアレルギー体質です。
浸出性体質とは、気道の粘膜に浸出液(分泌液)を出しやすく、鼻粘膜、咽喉、気管などに炎症をおこしやすく、したがって喘息もおこしやすいということ。
最も新しい研究によると、アレルギー反応のメカニズムは、次のように説明されています。体外から、人体を構成するタンパク質とは違ういわゆる異種タンパクが侵入すると、大食細胞という名の白血球がそれを食べてしまいます。この行動の中で、大食細胞は餌食となった異種タンパクの性質をつかみ、それをリンパ球に通報します。
情報をキャッチしたリンパ球は、異種タンパクをとりおさえる形に変身し、同時に仲間をふやします。一般に、抗体と呼ばれているのは、これです。
抗体には5つのタイプがあり、とりわけE型ができると大変なことになります。E型グロブリンと呼ばれるタンパク質は、ふだんは粘膜や皮膚のそばの肥満細胞にへばりついています。そこにアレルギーのもとになる卵や花粉タンパクなどがやってくると、E型グロブリンは、それの攻撃をしないで、肥満細胞を攻撃します。
それによって肥満細胞からヒスタミン、ブラジキニンなどがつつきだされます。これらは、筋肉を収縮して咳をおこさせたり、細胞を水ぶくれにしてかゆみをおこさせたり…といった、いわゆるアレルギーの症状を発生させます。
ところで、アレルギー体質というと、一種独特な体質のように聞こえるのですが、そうではなく、体外からの侵入物質を拒絶する抗原抗体反応の強い浸出性体質および胸腺リンパ体質をいいます。
浸出性体質は、皮膚が弱く、炎症をおこすと分泌物が浸出しやすく、湿疹となりやすい特徴があります。同時に粘膜も弱く、風邪、気管支炎、鼻炎、咽喉炎などにかかりやすい体質です。胸腺リンパ体質は、胸腺やリンパ腺、扁桃腺などが異常に大きい虚弱体質で、胃腸が弱く、神経過敏な体質です。
こんな体質がふえてきているのは、白米、肉食の不自然な食生活が原因です。植物性の炭水化物(租タンパク類や脂肪などを含む)でつくられた体細胞は、強いバイタリティーをもっているために、体外からの異物に対しても寛大な態度をみせます。
すなわち体細胞は、異物を同化したり、解毒中和したり、すみやかに排泄することができるので、いたずらに抵抗したり、反発したりしないのです。ところが肉食性の体細胞は、そのような同化能力が非常に弱いのです。そのため、自らを防衛するために、体外からの侵入物質に対して、精いっぱいの抵抗、反発をします。その戦いのさまが、アレルギー反応です。
われわれの細胞の質は毎日の食事でどのようにも変えられる
われわれの体細胞は、少しずつ新しい細胞によって置き換えられています。その新しい細胞の原料は食物である。食物の質が変わり、それによって血液の質が変われば、必然的に体細胞の質も変わります。だから、質のよい食物をとらなければならないのです。
質のよい食物とは、本来の人間の食性に適合した穀・菜食です。この生理にとって自然な食物によって、生理機能全般が正常化されるのです。すなわち体質は改善されるわけで、アレルギー体質も、必然的に解消されます。
まず、植物性食品中心食に切り替えて、腸機能を整えなければなりません。人間はもともと草食動物だから、肉・卵・牛乳をとっていると、消化機能は著しく混乱させられます。
次に体力を増強するために、完全な姿の主食をとります。すなわち、玄米主食に切り替えるということです。玄米は、内臓機能を健全にし、大いに基礎体力を増やします。
また、動物性アミノ酸が補給できる発酵食品(みそ・納豆など)も積極的にとります。そして、血液中の毒素をすみやかに分解・解毒する海藻を毎食とることです。コンプ、ヒジキ、ワカメ、ノリはいずれも血液浄化力がすぐれていて、炎症体質の改善には欠かせない食物です。
喘息の治療のポイント
- 牛乳、乳製品をいっさいやめる。これらはアレルギー体質を生む最大の原因。もともと穀菜食民族である日本人には、牛乳などはまったく不要。
- 痰をとる。去疾作用のある薬草を大いに活用する。
- 肉、卵も極力やめる。動物性タンパク質食品は体の同化力を弱めて、アレルギー体質などの過敏体質を生む。
- 玄米・菜食に切り替える。根治の決め手。玄米を主食にし、野菜・海藻・小魚介類を副食とする。それに体質に合った健康食品と薬草茶をプラスするのが、基本原則。
- 白砂糖、果物、生野菜、水分のとりすぎをやめる。これらのとりすぎは、体質を虚
弱化させる。じっくり加熱した根菜類を多くとることが大事。 - アレルギー体質改善効果のある薬草を活用。
薬効食品と自然療法
- キキョウ
- 根と甘草とを各3gずつぐらい混ぜて煎服する。
- ごぼう
- すりおろし汁を50ccほど飲む。痰が切れる。
- サトイモ
- みそ汁の実にして毎日とっていると、痰切りの効果がある。
- クロマメ
- 黒砂糖と一緒に煎じて飲む。咳止め。
- ニラ
- すりつぶし、布巾でこした汁を、1日50ccぐらいずつ飲む。咳に卓効。
- レンコン
- レンコンの節の部分を煎じて飲む。咳止め効果がある。
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