- 主成分
- ファイトエストロゲン
- 効能
-
- 更年期障害の軽減
- 心臓病や脳梗塞を防ぐ
- 骨粗鬆症予防
- ガン予防
- 副作用
- 過剰摂取すると子宮内膜症も
- 注意
- 抗ガン剤タモキシフェンと併用してはいけない
日本人女性が若々しいのは
高血圧、高脂血症、がんなど、生活習慣病に苦しむ人が、男女を問わず増えていますが、このどれにも効果的、と喧伝されているのが 大豆イソフラボン です。巷では、
- 女性らしい体をつくる
- 骨粗鬆症を予防する
- 更年期障害を軽くする
などと言われています。
イソフラボン は強力な抗酸化物質でもあります。 イソフラボン は、女性ホルモンのエストロゲンに似たはたらきをするポリフェノールやレスベラトロールの仲間で、 ファイトエストロゲン とも呼ばれます。
わたしたちの食べる食物のなかでは、 ソラマメ や エンドウ などのマメ科の植物、とりわけ 大豆 にいちばん多く含まれているから、大豆イソフラボンともいいます。
「更年期の女性」と一口に言っても、閉経をすでに迎えた人と、いま迎えようとしている人がいます。閉経を迎えた人は、血圧やコレステロール値が上がり、肥満が増えます。
しかし、こういったマイナス影響の少ない人もいます。それが、 大豆 をたくさん食べる習慣のある女性たちです。
中国や日本の女性は、欧米の女性にくらべて、年をとっても健康が保たれているケースが多く、この点に興味を持った欧米の研究者がくわしく調べたところ、その秘密が 大豆 にあることがわかりました。
大豆 の成分を追いかけていき、ついにイソフラボンを突き止めたのです。世界中どこでも、心臓病で死ぬのは男性が圧倒的に多数です。女性の心臓病による死は、男性の4 割にも達しません。
閉経した女性は血圧やコレステロール値が上がってくるのですが、これは、閉経によって エストロゲンの分泌が減ることが原因と考えられます。閉経していても、 大豆 を食べる女性の健康が維持されるのは、 大豆 に含まれる 大豆イソフラボン が「弱いエストロゲン作用」を発揮するためです。
また、閉経後の女性が骨粗鬆症になりやすいことは、周知の事実である。骨からカルシウムが溶け出すのを防いでいる エストロゲン が減少したせいである。だが、 大豆イソフラボン の「弱いエストロゲン作用」は、骨粗鬆症の予防にもなると期待されています。
大豆イソフラボン は、イソフラボンが糖にドッキングした配糖体として存在します。
大豆 や大 豆発酵食品 を食べると、腸内細菌によって配糖体から糖が切り離され、アグリコン(非配糖体) が残ります。
代表的なアグリコンは、ダイゼイン、ゲニスティン、グリシティンの3種類です。 大豆イソフラボン の効果は、腸内細菌による代謝に強く影響を受けます。
たとえば、ダイゼインが代謝されるとダイゼインよりもエストロゲン作用の強いイクオールになりますが、その代謝は個人差が大きいのです。
尿中のイクオールを調べたところ、ダイゼインをイクオールに代謝するのはアメリカ人では3割ですが、日本人では5割と多くなっています。しかも代謝は個人差が大きいから、 大豆イソフラボン をサプリで補うなら、過剰摂取しないように注意すべきです。
心臓病を防ぐ
イソフラボン は、2つの相反する作用を持つのが特徴です。前述した「弱いエストロゲン作用」と「弱い抗エストロゲン作用」です。
エストロゲンは細胞内で受容体にドッキングして複合体を形成します。この複合体が、 DNA に結合することで、遺伝子がどれだけ活用されるか、すなわち、できてくるタンパク質の量が決まります。エストロゲン受容体は生殖にかかわる卵巣や乳腺だけでなく、骨、肝臓、心臓、脳にも存在するから、エストロゲンの影響は全身におよびます。
大豆イソフラボン や他のファイトエストロゲンは、骨の細胞ではエストロゲン受容体にドッキングし、まるでエストロゲンであるかのごとく振る舞うのですが、乳腺の細胞では、エストロゲンのはたらきを妨げるようにはたらきます。
こうして、弱いエストロゲン作用と弱い抗エストロゲン作用の両方を発揮するのです。そうなると、 イソフラボン に心臓病を防ぐ効果が期待されます。家森幸男京都大学名誉教授は、 WHO のカーディアック・スタディで尿中イソフラボン値の高い地域ほど、人口10万人当たりの心臓病の発生率が小さいことを疫学調査から明らかにしました。
たとえば、イソフラボンの1日の尿中排泄量が4 μモル のモスクワで心臓病による死亡率は約 500 人ですが、30 μモル の富山県や台湾では数十人レベルと、桁違いに低くなっています。
大豆イソフラボンは、血栓の形成を抑制することで、心臓病(心筋梗塞)と脳梗塞も防いでいます。
大豆イソフラボン の抗酸化作用が悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、「弱いエストロゲン作用」が内皮細胞から一酸化窒素を放出させ、血管を拡張させ、血液の流れをよくするのです。
これらが総合的に作用することで、血栓ができにくくなるのです。 大豆イソフラボン は、エストロゲンと同じように、悪玉コレステロール値を下げるはたらきがあります。
大豆イソフラボンが肝臓の細胞の受容体にドッキングすると、肝臓は悪玉コレステロールをどんどん分解し、心臓病のリスクファクターである悪玉コレステロール値を下げるのです。
性ホルモンに関するがんを予防
大豆イソフラボンは、がんの予防効果も期待されています。がんが恐いのは、がん細胞が増殖し、別の臓器に転移し、その箇所でどんどん大きくなることです。
がん細胞が大きくなるには、栄養素と酸素をどんどん供給するための血管の形成が欠かせません。「血管新生」なくして、がん細胞の増殖も転移もありえません。逆に言うなら、がん細胞のまわりに新たに形成される血管が多ければ、たとえ、がん細胞を手術で取り除いても、すでに他の箇所に転移している可能性大です。
大豆イソフラボンには血管新生を防ぐはたらきがあるから、がん細胞の増殖と転移を防ぐと期待されています。
これも家森教授の研究成果ですが、尿中に排泄されるイソフラボンの多い地域は、少ない地域にくらべて、乳がんや前立腺がんにかかる人が少ないことが確認されています。
スペインの首都マドリード市における調査では、 イソフラボン の1日の尿中排泄量は5 μモル で、前立腺がんによる死亡率は人口10 万人当たり約12 人です。
だが、沖縄の名護市では30 μモル で、前立腺がんによる死亡率は10 万人当たり5人と、マドリード市の半分以下です。
乳がん による死亡率も、同じくマドリード市で20人、名護市で5人と圧倒的に低いものでした。 大豆イソフラボン は、 前立腺がん や 乳がん といった性ホルモンに関するがんを予防することがわかります。
サプリは1日30 mg 以下
日本人は、豆腐、みそ、納豆などさまざまな大豆製品を食べています。国民栄養調査から計算すると、わたしたちは1日に約 70 mgの 大豆イソフラボン を摂取していることになります。この量では、過剰摂取による健康被害は出ていません。
だが、気になる事例が報告されている。イタリアで閉経後の女性に1日150 mg の大豆イソフラボンのサプリを5 年間摂取してもらったところ、摂取しなかった女性にくらべて、子宮内膜症の発生が増えたといいます。
アメリカでは、 大豆イソフラボン 摂取量は1日30 〜80 mg と設定されていますが、日本では、食品安全委員会が日常の食事以外にサプリから摂る 大豆イソフラボン の上限を 「1日30 mg」 と設定しました。
女性の併用に注意
乳がん は、エストロゲンの摂取によってがん細胞が増殖し、悪化することがわかっています。 大豆イソフラボン の摂取によって乳がんが悪化するかどうか。これは研究者によって意見の分かれるところであり、結論が出ていません。
したがって、 乳がん を経験した女性は、わざわざサプリから 大豆イソフラボン を摂取する必要はないでしょう。
大豆食品は腸内細菌によって代謝され、しかも、代謝物が「強いエストロゲン作用」を発揮します。したがって、抗生物質を服用すると腸内細菌の活動が低下し、 大豆イソフラボン のはたらきを抑制することが予想されます。動物実験では、大量の 大豆イソフラボン 、とりわけゲニスティンを摂取すると、 夕モキシフエン という抗がん剤の効果が減少することが報告されています。
ヒトではまだ不明ですが、 タモキシフエン を服用している人は、 大豆イソフラボン のサプリを摂取しないほうが賢明です。
https://more-supplement.info/use/archives/247
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