- 主成分
- ピコリン酸クロム
- 効能
- 血糖値を安定させる。心臓病を防ぐ
- 副作用
- まれに頭痛、不眠
- 副作用
- 腎臓障害のある人は症状が悪化する恐れも
安くてうまいは当たり前という世の中になって喜んだのも束の間、多くの人に糖尿病が忍び寄ってきました。気づけばわが国には、糖尿病有病者と糖尿病予備群は、いずれも約1,000万人と厚労省の調査で分かっています。
クロム 欠乏すると動脈硬化や心臓発作に
糖尿病は、まさに 国民病 となってしまった糖尿病。日米でその予防や治療に効くと騒がれている
のが、この クロム です。
さらに、
- 血中コレステロール値を下げ
- 脂肪燃焼に効果的
などとも宣伝されています。こういったキャッチコピーは本当でしょうか?
糖尿病になると、
- しびれ
- 痛み
- インポテンツ
- 網膜症
- 腎不全
- 足の壊症
などが合併症として襲ってきます。わが国では、糖尿病による網膜症で失明する人は50∼60 歳代の約 300 万人を超えています。糖尿病による腎不全から人工透析を必要とする人は、毎年1万2000 人ずつ増加しています。
これだけでも十分に恐いのに、それに拍車をかける事実が判明しています。ま九州大学の清原裕教授のグループが、福岡県久山町の住民800人を15年間追跡調査した結果を分析したところ、糖尿病やその予備軍の人は健康な人にくらべて、アルツハイマー病に4.6倍、脳梗塞に1.9倍、心筋梗塞に2.1倍かかりやすく、がんの死亡率も3.1倍になることが判明したのです。
まさに糖尿病は万病のもとです。 クロム は、人体に2 mg しか存在しない微量元素ですが、なくてはならないものです。 クロム が多く集まるのは、血液、肝臓、腎臓で、細胞内では遺伝子を保管する核に多く含まれます。
クロム は酸化の状態により3 価と6 価がありますが、3 価は糖の代謝に欠かせないものです。一方、6価クロムは、みずからが還元されて3価になりたがる性質があります。
すなわち、相手を酸化します。この相手というのが細胞膜、タンパク質、DNA、グルタチオンだったりするから、細胞膜は破壊され、酵素は機能しなくなり、DNAはダメージを受け、やがて突然変異を起こします。
抗酸化物質グルタチオンは活性酸素を分解できなくなります。6価クロムは猛毒であるばかりか、強力な発がん物質です。
同じクロムでも3 価だと人体に必須なのだから、妙です。その証拠に、もし動物に クロム が欠乏すると、ブドウ糖が適切に利用できなくなるため成長が止まったり、子どもを産めなくなったり、寿命が短くなってしまいます。
ヒトは クロム が欠乏すると、動脈硬化や心臓発作が多発することが疫学調査で明らかになっています。
血糖値をコントロールする
クロム のはたらきを理解するには、まず、生体で血糖値がどのようにコントロールされているのかを把握することが先決です。食事のあとに上がった血糖値を適切なレベルに下げるために、膵臓からインスリンというホルモンが放出されます。
インスリンは、全身の細胞にはたらいて、ブドウ糖を細胞内に取り込ませます。こうして血糖値が下がるのです。細胞内に取り込まれたブドウ糖はエネルギーとして利用されるが、余った分はグリコーゲンや脂肪に変換されて蓄積されます。
絶食や運動によって血糖値が下がると、膵臓から グルカゴン という別の ホルモン が放出されて血糖値が上がるのですが、この グルカゴン は肝臓に蓄えられた グリコーゲン を分解し、 ブドウ糖 を血液中に放出します。また、血糖値が急激に下がったり、怒りにかられたり、恐怖心を抱いたときにも、副腎からアドレナリンやコルチゾールが放出され、血糖値がすばやく上昇します。
血糖値を上げる グルカゴン 、 アドレナリン 、 コルチゾール 、逆に血糖値を下げる インスリン の適切なタイミングでの放出によって、生体の血糖値はほぼ一定に保たれています。
ところが、不幸なことに、多くの日本人は栄養バランスや生活習慣の乱れにより、このしくみに不調をきたしています。その結果、糖尿病は国民病となってしまいました。さらに、日本のほとんどの医師は気づくことなく、したがってマスコミもあまり報道していないのですが、血糖値の上がり下がりの激しい低血糖症も同じように蔓延しています。
血糖値の上がり下がりが激しい、ということは、大量のインスリンが分泌されているのです。インスリンは、細胞にブドウ糖を取り込ませ、それをグリコーゲンや脂肪に変換させるので、本質的に、人を太らせるホルモンです。しかも、血糖値の不安定さ、インスリンの効きにくさ(インスリン抵抗性)、肥満は、互いに強化しあい、悪循環を引き起こす三角関係です。
この「悪の三角形」の一角を打ち破れば、悪循環を好循環へと逆回転させることができるはずです。すなわち、インスリンの効きめを高めれば、血糖値が安定化し、肥満も防ぐことができます。
インスリンの効きめを高めるのが、 クロム を含んだ「ブドウ糖耐性因子」という物質です。この物質は1957年に、アメリカのウォルター・メッツとクラウス・シュワルツ両博士によって、ブタの腎臓から発見されました。
この ブドウ糖耐性因子 を 糖尿病ラット に注射すると、ラットの症状が著しく改善したのです。 クロム が糖尿病を改善するしくみは、こう推測されています。インスリンが細胞の外に突き出ている受容体にドッキングすると、クロムが細胞内に入ります。この クロム が細胞内のブドウ糖耐性因子にドッキングすることで、ブドウ糖が細胞に取り込まれます。このため、アメリカのクリニックでは、 クロム が肥満や糖尿病の治療に利用されているのです。 クロム のサプリメントが大事なのは、血糖値のコントロールに クロム が必須であるからです。
糖尿病に効く
アメリカ農務省のアンダーソン博士は、Ⅱ型糖尿病の男女180人を3つのグループにランダムに分け、ピコリン酸クロムを1日200 ㎍と1日1000 ㎍ 、そして偽薬を摂取するグループに分けて、血糖値と糖化ヘモグロビン値をくらべました。
2ヶ月後に、長期にわたる血糖値の安定性をしめす糖化ヘモグロビン億は、 クロム を1000 ㎍ を摂取したグループで大きく改善し、4ヶ月後には200 ㎍ を摂取したグループでも改善しました。
短期間の血糖値の安定性をしめす空腹時血糖値でも、1日1000 ㎍ 摂取したグループで改善がみられました。
もう1つの治験では、妊娠中だけ血糖値が高くなる妊娠糖尿病の患者30人に、体重 1 kg 当たり4~8 ㎍ の ピコリン酸クロム を8 週間摂取してもらったところ、血糖値とインスリン値が低下しました。
母子を糖尿病による健康リスクから救うことができるのです。インスリン抵抗性や高血糖は、心臓病を発症させるリスクファクターであることは言うまでもありません。だから、 クロム の摂取によってインスリンへの感受性を高め、高血糖を軽減するなら、、心臓病のリスクは下がるはずです。
1日 200 ㎍ が必要
3価の クロム は非常に安全です。 クロム の1日所要量は決定されていませんが、食事から1日200 ㎍ 以上の クロム の摂取が必要です。
アメリカの栄養療法の専門家は、インスリン抵抗性や低血糖症の治療に1日400~1000 ㎍のピコリン酸クロムの摂取を勧めています。
サプリからの1日400 ㎍ を超える ピコリン酸クロム の摂取は、医師と相談してから始めるのがよいでしょう。
精製したデンプン、精白した小麦粉の摂取によって、また、運動不足によっても、体内から クロム の排泄が促進します。炭酸カルシウムや制酸剤の使用によっても クロム が余計に失われる。現代人はクロム不足におちいりやすいので、サブリからの摂取が望ましいでしょう。
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