薬を使わない食事療法(病気・症状別)

腎炎

病気の原因と症状

腎炎とは腎臓が炎症を起こす病気です。腎炎には、急性腎炎(急性糸球体腎炎)と慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)があります。急性腎炎は小さな子供に多く、比較的治りやすい腎臓の病気です。成人では慢性腎炎に移行することもあり、慢性腎不全になる場合もあります。

腎炎のおもな症状は、むくみ、血尿、高血圧などです。風邪や扁桃炎、中耳炎を合併することもあります。

急性腎炎の原因は、溶連菌といわれる細菌に感染することです。しかし、細菌そのものが腎臓に炎症を起こすのではなく、菌に感染することがアレルギーとなって、その刺激で炎症が起きるという複雑な仕組みなのです。発病後の初期段階では、安静にしていることが大事で、水分、塩分、タンパク質の制限が必要となります。

一方、慢性腎炎は、急性腎炎からの移行か、タンパク尿もしくは血尿が検査で偶然発見され、少なくとも1年以上持続している状態をいいます。慢性腎炎の原因については、詳しいことは明らかになっていないようですが、免疫複合体が糸球体へ沈着することによって引き起こされる場合が多いとされています。

慢性腎炎は症状や経過によって、次の4つに大きく分けられます。

潜在型

血圧が正常で自覚症状がほとんどありませんが、軽度の血尿とタンパク尿があります。この場合は、過労を避けて、規則正しいバランスの良い食事を摂ります。

高血圧型

むくみが出て、タンパク尿や肉眼でわかる血尿がみられます。体が疲れやすく、高血圧や動悸が起こります。塩分やタンパク質の制限が厳しくなります。

ネフローゼ型

ひどいむくみと多量のタンパク尿が出て、高血圧がみられます。塩分制限がさらに厳重になります。

進行型

腎機能がかなり低下し、貧血、息切れ、吐き気などがあり、むくみや疲れのほか、慢性腎不全の症状もあらわれます。症状の進行に伴い、尿量が減少いていきます。こうなると、水分やカリウムにも制限が必要です。

これらの食事では、当然、医師や栄養士から指導を受けなければなりません。

腎炎の食事療法について

腎炎には急性と慢性があり、それぞれの状態によって食事療法の内容も違います。急性腎炎では、厳しい食事管理をおこない、安静と保温で腎臓内での血流量の回復をはかります。一方、慢性腎炎では、潜在型の場合は特別な食事療法は要りませんが、それ以外の高血圧型、ネフローゼ型、進行型の場合、それぞれの状態に合わせた食事管理が必要となります。また、腎臓病ではどのような場合でも、塩分の調節が必要です。

調理のコツ

タンパク質の摂取に制限がある場合には、肉、魚、卵、牛乳、大豆製品などを主食や野菜と組み合わせて使い、ボリュームを出して補うと良いでしょう。タンパク質が少ない分、エネルギーが減らないように、油や砂糖をうまく使って調理しましょう。

塩分の摂取に制限がある場合には、食塩が必ず使われているような加工食品や漬けものなどは避け、薄味にしましょう。また、制限がないとしても、塩分は取り過ぎないことが大切です。

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