薬を使わない食事療法(病気・症状別)

肥満

病気の原因と症状

肥満というのは、単に体重が多いということだけではありません。食事から体内に摂取されたエネルギーと、体を動かすことなどで消費されるエネルギーのバランスが問題となります。このバランスがくずれて、体内にエネルギーが余ると体脂肪に変わります。そして、その一部は脂肪組織へ蓄積されていくのです。このようにして、体脂肪量が異常に多くなった状態を肥満といいます。

例えば、体内に水分がたまってむくみがあったりと病的な状態で太って見えるような場合は、肥満ではありません。

標準体重や肥満度などという言葉をよく聞くと思いますが、肥満を正確に判定することはなかなか難しいものです。それは、人間の体脂肪を直接的に測定することができず、脂肪の量がわからなければそれが多いのか少ないのかが判断できないからです。

肥満を判定する方法として、日本肥満学会では、BMIが用いられていて、体重(kg)÷身長(m)÷身長の計算で、22が適正体重だとされています。

肥満の人は体脂肪量が増加している状態で、体が重い、歩きにくい、座りにくい、息切れがするというように、体を動かすのに不便なことが多いものです。

太っているくらいいいじゃない、と深く考えない人もいるかもしれませんが、肥満は本当は恐ろしい病気です。高血圧や糖尿病をはじめ、動脈硬化、高脂血症、脂肪肝、女性なら月経異常、子宮ガンや乳ガンなどの誘因となるのです。こういった病気にかかると、それに伴いさまざまな症状があらわれることになります。

心も休も健康ならば、肥満になるはずがない

肥満体であって健康満点などということはあり得ることなのでしょうか。もちろん、原則としてはあり得ないことです。肥満にともなって必ずおこる障害は、第一に非行動的になることです。体が重くなるから、どうしてもキビキビした身のこなしはできなくなります。同時に疲れやすくなるから、どうしてもものぐさになります。疲れやすくなるのは、体が重いことに加えて、体内で老廃物の分解・処理がうまくおこなわれないため、組織細胞の活動が鈍くなるのです。

肥満は病気と仲がいい

また、肥満になると、まず息切れ、動悸、めまい、頭痛、肩こり、首の硬直化などがおこり、しだいに心臓病、糖尿病、腎臓病、肝臓病などに発展していきます。またその過程で、冷え性、自律神経失調、精力減退、思考力低下など多くのデメリットが生じます。

このような広範な障害をおこすのは、肥満の実態が、全身的な代謝障害であるためです。その代謝障害をひきおこしている原因物一質のひとつとして、最近注目されているのは「過酸化脂質」です。
肥満体の体内で、この過酸化脂質がどんな働きをみせるかについて研究結果が発表されているので、その要点を紹介しょう。

第一に、血栓症をおこしやすい。過酸化脂質は、血管内で血小板を壊してしまうからです。血小板が、出血時に壊れるのは正常な生理的現象で、その壊れた血小板の働きで血液は固まって止血がおこなわれます。ところが血管内で血小板が破壊されると、血栓となって血管をふさいでしまうのです。

つまり脳血栓、心筋梗塞などをおこすのです。第二に、動脈硬化をおこしやすくなります。過酸化脂質は血管の三重の膜(内膜、中腹、外股)のうち、真ん中の中膜の機能の低下を招くからです。すなわち、中膜細胞の解毒機能を破壊して、コレステロールを沈着させやすくします。

第三に、肝臓障害をおこしやすいのです。過酸化脂質は、脂肪の代謝センターである肝臓の機能を低下させる。脂肪の代謝がスムーズにおこなわれなくなって組織への脂肪沈着が促されるから、肥満はさらに助長されます。

このように、過酸化脂質の作用ひとつとっても、肥満はやはり「慢性病の仕掛人」であることがわかります。われわれが食物としてとった脂肪は、吸収されて肝臓にもちこまれ、そこで分解・合成の表の作用を受け、脂肪酸となって全身の組織におくられる。その脂肪酸が酸化されると過酸化脂質になります。
そのメカニズムはまだはっきりしていないが、肥満体の体内では大量に生みだされます。だから、肥満防止をはかることは過酸化脂質の発生を防止することにつながるのです。

「太りすぎ」にも「やせすぎ」にも効く食事

中年期に肥満になりやすいのは、誤った食生活のしわ寄せが表面化するためです。中年期になって、特別過食になったわけでもなく、運動量もめだってへってもいないのに、ある時期からめだって肥満しはじめ、また管理職になって体を動かさなくなったうえに、得意先の接待で飲み食いする量がふえる、という条件でも加われば、いよいよ肥満しやすくなります。

いずれにしても、肥満防止の決め手は、日常の食事パターンを正すことである。絶対健康を保つための食事パターンは穀菜食。生理機能全体が正常になれば、必然的に体形も正常化します。

やせすぎも、太りすぎもおこらないわけです。すなわち、確実に肥満を防止するためには、穀菜食にしなければいけません。
末精白の完全な姿の穀物である玄米を主食にして、野菜・海藻・小魚介類を副食とするのです。

肉食を多食している欧米や、白米・肉食の現代日本人に肥満が多いのは当然の話です。
また、塩分は極力とらないほうがよい、などという説がありますが、それは完全な誤りです。生物体にとって一定量の塩分は不可欠で、われわれ人間も、一定量の塩分は何らかの形で確保しなければなりません。

大ざっばにいうと、肉食民族は塩分を肉食からとり、穀菜食民族はそれを海塩で補給します。肉類をいっさいとる必要のないわれわれ日本人は、塩(自然塩)をしっかり補給しなければなりません。
それが健康を保持する必須条件だから、肥満防止のための必須条件でもあるのです。

肥満の食事療法について

脂肪が体内に異常に蓄積された状態の肥満の治療は、その脂肪を除去することです。体脂肪はエネルギーをたくさん貯蔵するエネルギーバンクのようになっているので、体脂肪を落とすには、体内にエネルギー不足の状態をつくることが必要です。体は、エネルギーが不足すれば、それを補うために体脂肪を分解してエネルギー源にするのです。

エネルギー不足の状態にするには、次の3つがあります。

  1. エネルギーが体に入る量を減らすこと、つまり、食事の量を減らして摂取エネルギーを制限します。
  2. エネルギーが体から出る量を増やすこと、これは運動によって消費エネルギーを増やします。
  3. 1と2の両方を併用します。

最も合理的で勧められているのは、3つめの両方とも行う方法です。

食事療法だけ行うと栄養素が不足して健康を害する可能性があります。しかも、体重の減少がストップしたり、リバウンドしてしまったりということも考えられます。また、運動療法だけ行っても、なかなか減量するのが難しいこともありますから、やはり、食事も運動も併せて行うことが望ましくなります。

腹八分目にしておく

エネルギー量を、いつもの食事の8割くらい(腹八分目)に抑えます。こうすると、始めてからしばらくは空腹感が起こり辛いこともありますが、それを乗り越えられるかが勝負です。そのうちに、体が少食に慣れてきます。

低カロリーの食物繊維を摂る

食物繊維は、ほとんどエネルギーを産生しません。しかも、糖質や脂質の吸収を遅らせて、体脂肪の合成を促進するインスリンの分泌を緩やかにします。食物繊維が多い食品だとよく噛まないと飲み込めないので、自然に食べるのに時間がかかり、早食いを直すことができます。

栄養バランスを保ち、必要量を摂る

健康を維持しながら痩せるためには、栄養素はすべて必要です。脂抜きダイエットや主食抜きダイエットなどといいますが、こうして脂質や糖質、タンパク質などをカットすることは良くありません。各種ビタミン、ミネラルもしっかり摂りましょう。

食事を夜型にしない

朝食にしっかり食べたのと、夕食のまとめ食いや遅い時間の夜型の食事では、体重の変化が違ってきます。夜にまとめて食べたり、遅い時間に食べる、食べてすぐ寝るなどは太りやすいので、朝食や昼食にしっかり食べ、夕食は軽く、夜食はとらないのが理想です。

調理のコツ

低エネルギーにしますが、見た目にボリューム感が出るような調理や盛りつけを考えます。炭水化物、糖質は少なめに、肉や魚などは脂肪が少ない種類や部位を選びます。できるだけ油を使わない調理法にしましょう。

肥満の治療のポイント
  1. 過食は厳禁。どんなによい食物でも必要以上にとれば有害である。まして、非自然食を多食していれば、代謝障害もそれだけひどくなって、非常に太りやすくなる。とくに白パン、インスタントラーメンの多食はやめる。
  2. 徹底的に咀嚼して食べる。よく噛んで食べることは、無理なく少食にする秘訣。朝食抜きの1日2食、1食1膳にすること。
  3. 肉類の常食はやめる。穀菜食民族の日本人が肉、牛乳、卵を常食していると、生理機能は必ず狂う。肥満体質はそこから生まれる。
  4. 玄米・菜食に切り替える。根治の決め手である。玄米を主食にし、野菜・海藻・小魚介類を副食とする。それに体質に合った健康食品と薬草茶をプラスするのが、基本原則である。
  5. 自然の塩分を定量とる。梅干し、みそ、自然塩などの塩分は、体をひきしめる。
薬効食品と自然療法
ヨモギ、セリ、ハコベ
野草は体内の老廃物や毒素の排泄を促し、バイタリティーを増強する。利用できる季節に大いに活用する。
シュンギク、ニラ、アシタバ
野性味が強く、浄血作用が著しく、組織をひきしめる。常食する。
ネギ、ニンニク、タマネギ
体内でビタミンB1効果を高め、代謝を正常化させる。
玄米食の副職
ヒジキ、ネギ類、梅干し、ゴボウ、ダイコンおろし、ピーマンを積極的に。

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