薬を使わない食事療法(病気・症状別)

冷え性

冷え性とは「ブドウ糖の細胞での不燃現象」

冷え性とは、体の一部が冷たくなったり、寒々とした感じをおぼえる症状です。とくに冷えを感じる部位は手足の先、肩、腰周り、そして足です。

いったん冷え性になると、いくら暖房のきいた部屋で厚着をしても、なかなか温まりません。反対に、クーラーのきいた部屋では、冷気に強く感化されて、いっそう体の冷えを感じてしまいます。

なぜこのような現象がおこるのでしょうか?口からとり入れられた食物(炭水化物)は消化の過程で最終的にブドウ糖に分解されます。それが全身の各細胞に供給されて細胞内のミトコンドリアによって活動エネルギーぬくを産出し、それが体温として感知されるのですが、その回路に何らかの障害が発生すると、温もりが感じられなくなります。つまり、冷え性とは、「ブドウ糖が細胞にまわって十分に燃焼していない現象」ということです。

本来、子供の正常体温は36.5度くらいあるはずなのに、現在の子供たちは35度くらいしかないのが現状です。いかに食生活が陰性側に乱れているかの証拠といえますが、こんな低温では心拍をまして燃焼力をます運動をする気にもなれないでしょう。
運動もしないから、血液循環はますます悪くなり、部屋に閉じこもりがちになります。そのため、よけい外気の刺激に弱くなるという悪循環をひきおこしてしまうのです。

冷えは、胃腸の強化が大事なポイント

冷えのまず第一の原因は、胃腸の脆弱さにあるのは言うまでもありません。胃弱、胃潰瘍、胃痙攣など、胃に疾患のある人や、大腸性過敏症など下痢症状のもち主は、食物の栄養成分を十分にとりこめないわけですから、一番の冷え体質者です。
この胃腸が連続的に傷害されると、今度は甲状腺の機能低下をもたらします。甲状腺は物質代謝を盛んにして、体温を高める働きをしている内分泌腺です。内分泌とは月経、妊娠、出産、月経停止など女性の血の道をつかさどるホルモン分泌に関係しており、その機能が低下すると月経不順や更年期障害がひどくあらわれやすくなります。
なかには、エネルギー摂取の不足分を見こんで過食する人を見かけるが、過食は胃の負担と腸の負担をまして、機能障害を一層助長しやくなります。

消化機能の衰退は、貧血を招くだけでなく、神経系の働きもますます弱めてしまい、血管の収縮や拡張をつかさどる自律神経の失調も招きます。
すると、体内の血液分布に狂いが生じ、上半身には血液がうっ血してのぼせや動悸がおこり、一方、下半身には血液不足が生じて冷えがおこるというアンバランスが生じます。

女性の冷えには、塩分不足が共通している

このような胃腸障害をおこし、寒さに対する対抗力を著しく弱めてしまう最大の原因は、精白食品、とくに白砂糖で、甘いお菓子やチョコレート、ケーキなどは厳禁です。
また果物やコーヒー、紅茶などの水分も控えねばなりません。「美容と健康のためによい」といわれるビタミンCの多い果物は、とりすぎるとビタミンC効果よりも、かえって体を冷やす害作用のほうが強くなってしまいます。

また、生野菜食も控えることが大切です。冬でもハウス栽培のトマトやキュウリをとっている人がいますが、ビタミンもミネラルも減少しているこれらをせっせと食べても身にはならず、「青びょうたん」になるだけです。

なお、血液検査からはっきりわかることですが、冷えを訴える女性に共通している現象に、ナトリウム不足が挙げられる。つまり、脱塩状態に陥っっているのです。

ナトリウムは血液濃度を高め細胞をひきしめる働きがあるのですが、ナトリウムが不足すると、決まって婦人科疾患の生理不順、子宮前後屈、冷え性、リウマチなどをひきおこしますす。同じ白いものであっても、甘い白砂糖はやめて、ニガリの利いた自然塩に切り替えられるかどうかが、.大きな分かれ道になるのです。

冷え性解消のためには、内外両面作戦が必要

ところで、冷え性の人はとかく冬場には「寒い、寒い」とネコのようにコタツにばかりはいって外に出たがらないものですが、皮膚をきたえることは内臓の強化にも直結し、非常に大事なことです。

人体の原型である腔腸動物の成り立ちをみればわかるように、腸(内腔)いつついと外側にあった皮膚面が内側にへこんでできたもので、内外1対です。

たがって、冷え性の解消のためには内と外からきたえるという両面作戟が必要です。大股歩きや軽いジョギングで汗をかくほどの運動をすると、心臓の拍動が強まり、血液が全身に循環して、体も温まります。
また、入浴時に温冷浴や乾布摩擦をおこなうと効果はさらに高まります。
冷水を浴びることなど、はじめはとてもできそうにないと思われますが、ぬるま湯から徐々に冷水にして体に慣れさせていくと、いつのまにか冷たさを感じなくなります。

そのうち自分でも思わぬほど冷たい水に触れることができるようになり、最後は温冷浴がとても気持ちよく感じられるでしょう。また、湯上がり後に乾布摩擦をおこなうと、寒風が吹いていても外で散歩がしたくなるほどです。

内向きになる気持ちを少しでも「外へ、外へ」と積極的に開いていく心構えが大切です。

冷え性の治療のポイント

  1. 雑穀は体温を長く保持してくれるので、主食の菜にソバ、ヒエ、アワ、キビなどを必ず入れる。これにナトリウムの多いチリメンジャコなどをふりかけて食べる。胚芽やゴマがたくさん入ったふりかけでもよい。みそ汁に玄米もちを入れて食べるのも、昔からいい伝えられてきた冷え性解消の療法である
  2. 副食には、ニンジン、ゴボウ、レンコン、ヤマイモなどの根菜類をけんちん汁などにしてとる。またワカメ、コンプ、ヒジキ、青ノリなどの海藻類は甲状腺の働きをよくするヨード分を多く含むので、意識して多くとるようにする。
  3. ネギやショウガ、トウガラシ、ニンニクなどには強い発汗作用と温熱効果があるので、薬味・調味料にたっぷりとつけて食べる。
  4. タンポポ、アオザ、オオバコ、セリ、ヨモギ、ニラ、ノビル、クズなどの野草類を用いる。それを純正なみそやしょうゆで煮つけたり、あるいは石臼でしぼったゴマ
    油で天ぶらにして食べる。
  5. 副食の小動物には、体を温めるドジョウ料理がよい。身をすりこんだドジョウ汁、ゴボウの柳川鍋、豆腐のドジョウ煮など。
  6. 体を温めるのに一口の寝酒もよい。ただし、日本酒やワインは添加物に注意。高級なブランデーを飲むことは、内臓にやさしく作用して血液循環をよくする。
薬効食品と自然療法
タンポポ
根を煎ったタンポポコーヒーは香りがあるだけでなく、体を温める作用がある。ただし、砂糖などの甘味料は用いない。
青のり
ビタミンB1が多く、造血作用が強い。
オドリコソウ
1日10グラムを煎じて飲む。
薬草茶
中国産のプーアル茶は体を温める作用がある。
薬湯
ヨモギを乾燥させたものを濃く煎じた汁や、プーアル茶をお風呂に入れて入浴すると、体が芯まで温まる。また腰湯にしてもよい。手足の先がとくに冷える場合は、1本1本よくつまんでもむ。1日約15五分ぐらい毎日おこなう。
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