病気の原因と症状

胃炎は、急激に胃に炎症が起きた状態で、胃の病気としてはよくみられるものです。原因はいろいろ考えられますが、飲み過ぎ、食べ過ぎ、消化不良のほか、精神的ストレスも影響します。また、風邪薬や鎮痛剤を服用した後に起こることもあります。

一般にはどうも不当に軽視されているのが、胃袋の役割です。「胃は、もともと腸管の一部が特別に大きくふくれて、倉庫の役目をはたすようになったにすぎないもので、全部とりのぞいてしまって食道と小腸を直接つないでも、命に別状はありません。

消化管は原始的な器官ですから、数年のうちには、腸のある部分が胃の代行をするようになる」…と考えます。消化管というものが原始的な器官であって、きわめて融通性の高いものであることに間違いありません。しかし、それなりに進化してきているのも事実です。とくに胃は、進化にともなってあらわれてきた器官で、高等動物の最高位に位置する人間にとってはきわめて重要な器官です。

胃袋は、小腸に少量ずつ消化しやすい形に変えた食物をおくりこむためにつくられたものですが、人間の体内では、その作業がより巧妙におこなわれるようになっています。

すなわち、前消化ともいうべき作業で、これが順調におこなわれないと、腸での本格的な消化作用に支障が生じます。造血は小腸絨毛組織でおこなわれており、胃の機能が障害されると、悪質な貧血がおこることもあります。だから、「胃を切りとる」という治療は、極力避けなければいけません。

胃のおもな症状には、食欲不振や吐き気、嘔吐、胃の張り、みぞおちの痛みなどがあります。一般的な治療として症状に合った薬が処方され、必要であれば点滴や胃の洗浄をすることもあります。胃炎では原因が明らかになることが多いので、原因を取り除くことで治る確率が上がります。

胃に潰瘍ができやすいのは

潰瘍とは、胃壁に潰瘍ができる病気です。「潰瘍」というのは、いわゆる組織の表面に炎症が起きて、壊死に陥った組織がはがれかかっている状態です。

炎症がおこるのは、血液中の毒素の働きによるものである。局所的には組織が死んでしまう(壊死)ほどの障害がおきているのですが、体のほうにもまだそれに抵抗する力が十分にあるため、どんどん新しい細胞をつくり、新たな組織づくりをすると同時に、傷んだ組織は切り離そうという作業が進められているわけです。ともかく胃壁の組織細胞は、局所的な病変に対して精いっぱい対抗して活動を開始します。そのため、胃液の分泌も旺盛になります。それが、潰瘍面への刺激をいやがうえにも増大させる結果となるのです。

したがって、症状も激烈になります。圧迫されるような、焼けるような、刺すような、痙攣性の激しい痛みがおこることが増えます。ひどくなると吐血する下血するなどの症状もみられます。

ただし、軽度のうちは、神綬の反射的な働きによって、あくびが盛んに出たり胸やけをおぼえることが増えます。それにしても、なぜ潰瘍は胃に最もおこりやすいのでしょうか。

それは、胃が自律神経との関係が緊密であるうえに、不自然な食事の害を直接受けるからです。不自然食で血液を汚し、ストレス過剰の生活で自律神経を失調させていれば、必然的に胃粘膜には変調がおこります。炎症などの変調がある程度以上ひどくなると、胃潰瘍にもなりやすいわけです。

胃へ運ぶ前に、口で消化してしまうこと

たかが粘膜の障害ぐらいと考えるかもしれませんが、この粘膜の働きこそが消化機能の本命です。胃袋は強靭な三層の筋肉によってつくられていますが、これはもっぱら胃の運動に関係しているもので、内容物に機械的な作用を及ぼしています。

消化としての化学的ないし生物学的操作は、すべて粘膜がおこなっているのです。いずれにしても、胃潰瘍の場合は、体の抵抗力はまだ旺盛なのだから、正しい治療法をおこなえば、予想外に早く回復させることができます。

治療は、胃への刺激を極力小さくすることと、自律神経系の安定と浄血をはかる、という平行した対策が必要です。

胃粘膜を刺激する香辛料、コーヒー、タバコ、精製塩、白砂糖、酒などを避けることはもちろん、少食にし、十分に咀嚼して食べることが大切です。食物は機械的操作を加えるほど、唾液酵素の作用もゆきわたって消化作用がうまくいく。機械的な消化操作を意識的におこなうことができるのは、口の中だけです。それだけに咀嚼の意義を再認識すべきです。

胃の炎症や潰瘍を直接的に治癒させるものとしては、葉緑素が最も効果的です。甘草を煎じて飲むのも有効です。便が黒っぼくなるのは出血している証拠だからです。

止血効果の大きいレンコンジュースを飲むのがいいでしょう。浄血をはかるためには、腸内で異常発酵をおこして毒素を大量生産する動蛋食品をやめて、玄米・菜食に切り替えます。併せて、整腸効果の大きい酵素、抗ストレス作用の著しい朝鮮人参を補給するのがおすすめです。

「よく噛まなければならない食べ物」が胃を丈夫にする

胃を強化するには正しい内容の食事を、十分に噛んで食べることが一番重要です。正しい食事とは体の自然性にあった玄米・菜食中心の食事です。
人間の本来の食性は、穀菜食性です。その証拠は、歯の並び方や腸の長さなどにはっきりと示しされています。

玄米・菜食は体タンパク質の生合成をスムーズにするので、胃組織の修復はすみやかにおこなわれます。同時に、血液性状も正常化するので、内臓機能は健全になり、弱っている神経系も大いに強化されます。

そして十分に噛んで食べることによって、食物の利用率が非常に高められるので、それだけ効果的に体質改善がはかられます。
また、よく咀嚼して食べると自然に少食になるので、胃の負担は大幅に軽減され、この点でも大いに機能回復が促されます。

咀嚼は、内臓機能に直接的な影響を及ぼすことのできる、特異な働きです。つまり、消化という、生理機能の中でもとくに重要な機能を意識的に左右するものなのです。
できるかぎり活用しなければ損です。とくに、咀嚼の効用として重大なのは、植物性炭水化物の利用率が高まることです。
タンパク質の生合成において最も重要な素材は、炭水化物です。
唾液には、その炭水化物の消化をスムーズにする酵素(プチアリン)がたっぷり含まれています。十分に咀嚼すると、唾液の分泌が促され、しかも食物とよく混ざり合います。

胃炎の食事療法について

胃炎の炎症を抑えて再発を防ぐことが食事療法の目的です。

具合が悪いときはまずは絶食する

吐き気や嘔吐が激しいときには絶食して、胃の粘膜を保護します。およそ一日か二日して、食事ができるようになり最初の食事を摂るときはジュースや重湯など流動食から始めます。その後、おかゆ食からご飯へ移行していきます。ただ、普段の食事に戻ったとしても何でも自由に食べるのではなく、消化の良い食品や調理にして、栄養のバランスを取るようにしましょう。

いつまでもおかゆを続けない

胃の調子が悪いと、ついついおかゆに梅干しのパターンになりがちではありませんか?これだと、いつまでたってもおかゆ食から抜け出せないこともあります。おかゆは、確かに消化は良いですが、水分が多いし、エネルギー、タンパク質はそれほどありません。できるだけ早い時期に普通のご飯に戻し、よく噛んで食べるようにしましょう。

規則正しい食生活を

体が消化の準備を整えるためには、毎日決まった時間に食べることです。規則正しい食生活をおくることが大切なのです。そして、消化を良くするためには、ゆっくりよく噛んで食べることが必要です。早食いでよく噛まずに食べる人は、胃炎を起こしやすいのです。

できるだけ刺激物を避ける

胃の壁の負担を減らすために、ある程度、刺激物は制限します。ここでいう刺激物とは、熱すぎるものや硬すぎるもの、アルコールやカフェイン飲料などです。それに、お腹いっぱいになるまで食べると胃が拡張して、胃の負担が大きくなります。炎症を抑えるには、腹八分目にしておきましょう。

調理のコツ

胃に炎症が起きているときには、消化の良い食品を選んで、やわらかく調理したメニューにします。症状に合わせて、徐々に流動食から普通のご飯に戻していきます。

食材は、青魚は脂肪が多いので避けます。肉なら脂肪の多いロースやバラ肉は避け、ヒレ、モモ、鶏ささみなどを使います。香辛料は控えましょう。煮る、蒸す、茹でるなどの調理法が良いです。

ストレスは血を酸毒化させる

人は心にひっかるかるようなおもしろくないことがあると、食欲不振になりやすくなります。それは、胃液の分泌がへったり、胃腸の嬬動が減退する、というように消化機能の低下がおこるためです。反対に、楽しくくつろいだ気分の時に食が進むのは、それだけ胃腸の働きがよくなっていることによります。このように、胃腸の働きを盛んにしたり、抑制したりするのは、直接的には自律神経の作用による。胃腸には、他のすべての内臓と同じように、交感神経、副交感神経という二系統の自律神経がきています。
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そして、胃腸においては、交感神経の作用が強くなった時は、消化液の分泌は少なくなり、運動も弱くなります。反対に副交感神経の作用のほうが勝っている時は、消化液の分泌は盛んになり、運動も活発になります。すなわち、われわれがいい気分でリラックスしている時は、胃腸の活動は盛んになっているのです。手足の筋肉のように骨を動かす骨格筋は、一種類の神経で支配されていて、大脳から命令がおくられてくれば働き、命令がこなければ働かない…というように、単純明快なしかけになっています。

ところが、胃腸その他の内臓にある筋肉は、自分で働く関係から、活動をおこす神経と、活動を止める神経の二種類の神経が必要となります。というわけで、内臓の機能状態は自律神経のあり方によって決められるのです。
この自律神経は、精神的ストレスにきわめて弱く心が動揺すると、簡単に機能失調をおこしてしまいます。精神的ストレスは血液を酸毒化させるから、どんな慢性病の暗も棒力回避するように工夫しなければいけないのですが、胃腸病の時は、とくにストレス対策は重要です。

「イライラ、クヨクヨ」は食べすぎ・飲みすぎと同罪

消化力が減退すると、体タンパク質の生合成力は、減退し、代謝も混乱するため、心身の虚弱化がおこります。すなわち、

  • 胃およびその他の内臓は下垂しやすくなる
  • 血管機能の調節がチグハグとなり、冷や汗、のぼせがおこりやすくなる
  • 神経が過敏になる

このため、胃弱の人は、体にいろいろな故障をおこしやすくなります。また、持久力が弱くて、ちょっと無理をするとすぐにダウンします。
だから、体を鍛えようとしてやみくもにトレーニングをすることは、胃弱の人にとっては逆効果とです。ただでさえストレスに弱い体に、多大なストレスをかける結果となるからです。

まず、冒そのものを強化することが先決です。もし、胃弱を放置し、誤った食生活を続けていると、胃下垂、胃アトニー、慢性胃炎、胃潰瘍、胃ガンなどに発展させてしまうでしょう。胃弱の扱い方は、胃を健全な姿に回復させるか、本格的な病気にするかの重要な分かれ道です。

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白砂糖はカルシウムを奪って胃の組織をダウンさせてしまう

現代人が食物をあまりよく噛まなくなったわけは、咀嚼しがいのない軟弱な食物ばかりを食べているせいでもあるのです。白米、自パンなどの精白食品、骨をとりのぞいた魚、繊維の柔らかい温室野菜などは、別段意識して噛むまでもなく、ラクラクとのどを通過してしまいます。

第一、これらの食品は、うまみを出す成分が少ないから、よく噛んでいたら味気がなくなる一方です。咀嚼をしっかりすると同時に、咀嚼しがいのある食物をとることを考えなければならないのです。最も咀嚼しがいのある食物は、玄米です。
玄米は、炭水化物性の食物であり、しかもビタミンB1、B2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンE 、カルシウム、リン、リノール酸など、体タンパク質の合成に必要な有効成分がたっぷり含まれています。

だから、玄米は噛めば噛むほど味わいが出てくるし、胃腸の健全化効果も高まります。玄米ごはんを主食にして、十分に噛んで食べることは、胃ガン治療においても決定的な役割をはたすものです。ましてや胃弱など、玄米を十分に噛んで食べることさえ守れば、他には何ら特別なことをしなくても治ってしまうことが多いのです。

胃腸という臓器がきわめて原始的なものであるから、胃腸病の症状もとても単純です。だから、誤った食事をしていれば、すぐに胃腸腸障害がおこり、食事を正せば、いち早く回復します。胃腸障害をおこす誤った食事とは、白米・肉食です。とくに肉と白砂糖の常食・多食は有害です。肉は、胃に大きな負担をかけ、血液を酸毒化して、胃の組織を荒らす。一方、白砂糖は、カルシウムを奪って組織をだらけさせてしまいます。そして結局、疲れやすく、ストレスに弱い胃袋に変えてしまうのです。

牛乳崇拝が胃腸をダメにしてしまう

体力をつけ、傷の治りを早くするという理由で、医者は一般的に、動物性のたんぱく質食品を十分にとることをすすめる傾向があります。なかでも、牛乳を特効薬食品扱いしています。

「胃潰瘍は胃をカラッポにすると痛みだすから、牛乳を飲むとよい。牛乳には酸を中和する働きもある。冷たい牛乳を飲むと下痢をする人は温めて飲み、牛乳そのものを受けつけない体質の人はスキムミルクを飲めばよい」といった調子で、まるで牛乳をとらなければ治らないとでもいいたげです。

あながち胃潰瘍にかぎった話ではないのですが、動物性たんぱく質食品ほど悪い作用を及ぼす食品はないのです。