便秘

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病気の原因と症状

便秘は、排便の回数や量が少なかったり、便の質が悪かったりして、スッキリ排便できない状態です。理想の排便は、1日に1回、毎朝決まった時間にトイレに行って、気持ちよく排便できることです。

私たちが食べたものが消化・吸収された後、残った内容物が腸内に長い時間留まると、腐敗や発酵が進み、有毒物質が発生します。そして、腹痛や腹部の不快感、膨張感などがあらわれます。便というのは、つまり、体の中には不要なゴミであり、それがうまく排出されないということは大変なことです。たかが便秘、と思われがちですが、便秘は私たちの体にさまざまな不調をきたす、恐ろしい症状なのです。

良い便の場合は、水分が80パーセントくらいで、残りの20パーセントには、食べカスや腸粘膜がはがれたもの、腸内細菌が含まれているといわれています。よく耳にするバナナ状の便で、善玉菌が優位の状態です。反対に、良くない便には水分が少なくコロコロした硬い便や、水分が多すぎてドロドロした便があり、これらは悪玉菌が優位になっています。

特に原因となる病気がなくて起こる便秘を慢性便秘といい、慢性便秘は、さらに、弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)と痙攣性便秘(けいれんせいべんぴ)のふたつに大きく分けられます。

弛緩性便秘では、大腸の筋力が低下し便を押し出す働きが弱くなっています。お年寄りや運動不足の人に多く見られる便秘です。

一方、痙攣性便秘では、心配ごとや悩みごとといったストレスを抱えることで大腸が過敏になって収縮するため、便の通りが妨げられています。ストレスによるものは便秘と下痢を繰り返す症状もあり、これを過敏性腸症候群といいます。

便秘を改善、解消するためには、毎日の食事が大切なのですが、ほかにも、ストレスをためないようにしたり、適度な運動をして排出力をつけることが必要です。また、排便の習慣をつけることも大切です。便意がなくても、毎朝決まった時間にトイレに行くようにして、これを習慣化しましょう。生活が不規則になったり、便意があるのに忙しさのために排便できないことがあると、排便のリズムが崩れてしまいます。

「ナマケモノ」便秘と「神経質」便秘がある

便秘症は大別すると、2つのタイプになります。2つのタイプというのは先にも言ったように「弛緩性便秘」と「痙攣性便秘」です。

「弛緩性便秘」は腸、とくに大腸の緊張がゆるんで、運動減退が起こったために、便が停滞してしまったものです。便意はおこりにくくなります。虚弱体質、肥満、老衰の人に多くみられるタイプです。

また健康そうにみえながら、腸の緊張性が極度に低下しているということもあります。白米・白パン、さらにめん類・菓子類などの精白したでんぷん質食品を多食している人におきやすくなります。腸壁を刺激する繊維分が足りないために、腸がなまけてしまう状態です。甘いものをたくさんとっている人は、いっそう深刻な状態になります。白砂糖は組織をたるませる作用をもっています。

一方、「痙攣性便秘」は腸壁が過度に緊張し、痙攣をおこしたために、便が停滞してしまったものです。便意は強くおこるのに、スッキリと排便ができません。
直接的な原因としては、精神的ストレスの作用が有力で、神経質な人におこりやすいタイプです。穀菜食民族の日本人が、肉や卵などの動蛋食品を常食していると、非常に神経質で過敏になりやすくなります。

便秘の食事療法について

便秘の種類によって、食事療法は異なります。

規則正しく食事を摂る

朝食を抜いたり、夜遅い時間まで飲食したりしていると便通が乱れます。食事は、1日3回、規則正しく食べることが大切です。朝食が腸を刺激してくれるので、特に朝食は抜かないようにしましょう。

食物繊維で便をつくる

便秘の改善には、便の量を増やすことが大事です。便の量を増やすには、便の材料となる食物繊維をしっかり摂ることです。食物繊維には、水に溶ける水溶性と水に溶けない不溶性があります。水溶性食物繊維は便をやわらかくし、不溶性食物繊維は腸を刺激します。

弛緩性便秘には、便秘薬に頼る前に、市販されている食物繊維が多く含まれた食品などを利用してみるのもよいでしょう。痙攣性便秘の場合は、腸管を刺激することで悪化するので、食物繊維が多いものは控え、消化の良いものにします。
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主食は玄米を中心に

ご飯に含まれるデンプン質の一部は、小腸で消化されずに大腸に達し、食物繊維と同様に働きます。パンやめんは小麦粉からできているので消化がよく、作用はそれほど期待できません。

頑固な便秘の場合には、白米よりも玄米や胚芽米のほうが食物繊維が多く摂れ、改善に効果的です。

調理のコツ

弛緩性便秘の場合、腸を刺激する食品を多く摂ります。主食にも副菜にも食物繊維の多いものをとり入れましょう。また、便のすべりを良くするには油が必要です。植物油、オリーブオイルを料理に使いましょう。

痙攣性便秘の場合には、逆に、食物繊維が多い食品を避けるようにして、消化のよい食品や調理法を選びましょう。

便秘もちの人は早く老ける

現代日本人の食生活は、精白食品と動蛋食品が中心をなしています。だから、便秘の様相も、きわめて複雑になっています。
いずれにしても、便秘をしていると、停滞している便が発酵したり、腐敗したりします。発生した有毒ガス、毒素は老廃物と一緒に血液中に吸収されてしまいます。その有害成分が、全身をめぐっていって、内臓細胞や神経細胞などに漂着して、頭痛、吐き気、胸やけ、めまいなどを起こします。

このような状態が進行すると、慢性病に移行していきます。体質によってあらわれ方は違いますが、特に起こりやすいのは、高血圧症、動脈硬化症、肝硬変。場合によっては、脳出血、狭心症によって突然死を招くこともあります。
同時に、皮膚にも、吹きでものができやすく、肌があれたり、たるんだりします。便秘は早老と密接な関係があります。とくに問題になるのは、便秘がノイローゼの温床になりやすいことです。

現代日本人の便秘が一層されたら、世の中のありようはよほど変わったものになるでしょう。なにしろ、いまや日本人の2人に1人は便秘に悩まされているのです。

便秘をすると、血液が汚れ、血液中の酸毒成分は、どの体細胞よりも、微妙な働きをしている自律神経機能の混乱をおこしやすいのです。

とくに肉、卵を多食している場合は危険です。これらの未消化物が腸内に停滞して異常発酵すると、アンモニア、アミン、硫化水素、インドールなどのきわめて有害な毒素を発するからです。これらの毒素は、不眠や疲労の原因となる別のルートからも、二重三重にノイローゼを助長します。

便秘完全解消の生活術あれこれ

便秘を招きやすい食品を極力避け、便通促進効果をもつ食品を極力利用することが有効です。実際その通りで、とくに白砂糖と肉をやめてアズキ、ヒジキ、サツマイモ、コンニャクなどを極力活用すると便秘はたちまち改善の方向へ向かいます。

ただし、根本的に治すためには、食事のパターンそのものを変えてしまわなければなりません。積極的に腸機能の健全化をはかることが不可欠です。そのためには、日常の食生活を玄米主食、野菜・海藻・小魚類の副食に切り替える、特に、主食に玄米をとることが重要です。

腸の機能が低下しているのは、精白食品でミネラル欠乏になっていること、動蛋食品で腸を極度に疲れさせていることが最大の原因です。

これらの害作用をのぞくには白米や肉をやめることだけでは不足しています。玄米・菜食にして、欠陥の埋め合わせをしなければいけません。玄米によって、ミネラルが十分に補給されるとともに、人間の生理的要求にマッチした自然体の(租タンパク、類脂肪、酵素などを含んだ)炭水化物が与えられることによって、腸の機能は急速に回復します。

腸が健全化するにしたがい、血液も確実に浄化されるから、便秘による種々の害作用ものぞかれていきます。この玄米・菜食の効用を大いに増強させるのは、酵素、葉緑素、胚芽の三大健康強化食品です。

また、便通効果の大きい薬草、ハブソウ、ヨモギ、センナ、ドクダミなどを、濃いめに煎じてお茶代わりに飲むとよいです。自分で煎じるのが大変な場合には、市販のものを利用するのもよいでしょう。
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ミネラル水の活用も、大いに浄血効果を高めます。水道水に天竜石を入れて、二昼夜以上放置すれば、ミネラル水ができあがります。

一般に、食後には大腸の運動が盛んになります。S状結腸や直腸に食物のカスが一定量たまっていれば、その運動高進が自然に便意をおこして排便反射をおこします。
この反射がおこりやすい人では、食事ごとに便意を催します。感受性が強ければ、それほど敏感な反応がおこるものです。

それを考えると、便秘症の人は感覚が相当に鈍っているということです。便意を我慢する習慣をつけてしまった場合も、しだいに感受性は鈍ってきます。

排便反射(正式には胃・大腸反射) は、ふつう朝食後に特に強くおこりやすいものです。この体のリズムに合わせて、排便のキッカケをつくることも大切です。

まず、夜寝る前に食物をとることを極力控え、遅くとも24時までには床につくようにして、睡眠を十分にとり、胃腸を十分に休息させるという準備態勢を整えます。そのうえで、朝おきたとき、少量の飲み物で胃に刺激を与えたり、腹部に物理的刺激を与えます。たとえば、梅干し番茶を一杯飲む、塩ひとつまみを入れた冷水を飲む、または腹部マッサージやウォーキングなど、自分に合った効果的な方法をみつけることが大事なポイントです。

便秘の治療のポイント

  1. 下剤(化学薬剤) は使わない。一時的にめざましい効果が得られても、腸機能の自然性をそこねるから、結果的には逆効果。
    便秘の副作用はこちら。
  2. 白砂糖、肉は厳禁。白砂糖は腸の組織をたるませる。肉は繊維がないために腸内で停滞し、腐敗・発酵をおこして、大量の毒素を発生する。
  3. 精白したでんぷん質食品の常食をやめる。腸の緊張性を極度に低下させてしまう。精神的ストレスに強い体質をつくる。動蛋食品を極力避け、抗ストレス食品を積極的にとる。
  4. 玄米・菜食に切り替える。根治の決め手である。玄米を主食にし、野菜・海藻・小魚介類を副食とする。それに体質に合った薬草茶や健康食品をプラスするのが、基本原則である。
  5. 緩下作用のある薬効食品や薬草を、積極的に活用する。
  6. 腹部のマッサージ、運動をする。
薬効食品と自然療法
センナ
葉を煎服。粉末を飲んでもよい。
ゲンノショウコウ
煎服。煮立ったらすぐ火からおろし、カスをこして冷ましたものを食事30分ぐらい前に飲む。
ソバ
ソバがきをたびたび食べる。
アズキ
コンブを入れて軟らかく煮て、塩味だけで、毎日茶碗1杯ずつ食べる。どんな頑固な便秘も必ず通じるようになる。
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