急増する現代人の病気とさまざまな問題点

現代人は、どのような病気に多くかかっているのでしょうか?病院や診療所を受診した人の病気の内容を分析してみると、昭和30年頃から結核のような感染症が減っている一方で、各種の成人病が増加していることがわかります。

よく便秘を解消するために昭和30年代の食事が日本人の腸に合っているという話題がとりあげられますが多くの人が口をそろえるのは日本人の腸に合っているということです。
便秘解消の観点からの昭和30年代の食事についてみるとメリットデメリットも浮き彫りになります。

昭和30年代の食習慣は腸にプラスになるか?
http://benpi-guide.net/chouplus/archives/51

ところで現在、日本人の死因の上位3位はガン、心臓病、それに脳卒中が占めています。これらは、成人期に発症し慢性化するために成人病と呼ばれ、日本人の約70% の人たちがこの三大成人病により死亡しているのです。つまり、ほとんどの現代人は天命を全うすることなく、これら成人病で不本意ながら亡くなっているのですが、成人病には、これらのほかに、高血圧、糖尿病、肝臓病、消化器性潰瘍なども含まれます。

こうした成人病の多くは、その病気にかかりやすい体質をもっ.た人に、不適切な食習慣や運動不足、さらにストレスなどが加わって発症すると考えられています。したがって、成人病になりやすい体質をもたない人はもちろんですが、そのような体質をもった人でも、生活習慣に気をつければ病気はある程度予防することができることになります。

このように病気の発症に生活習慣の歪みが与える度合いがかなり大きいことから、「成人病のことを「習慣病」といったほうがよいとする声もあります。この言葉が象徴しているように、成人病の予防に生活習慣の改善がいかに重要かがわかります。しかもこの言葉には成人になってからではなく、若いうちから気をつけるようになるだろう、との暗黙の配慮があることも読みとらなければなりません。

成人になって食習慣を改めることが必要なことはもちろんですが、食習慣が形成される子供の頃から気をつけ、正しい習慣をつけることが効果的であることがわかってきています。

このように食生活の歪みは成人病の発症に大きく関与しているので、もし病気になったとしても、まずその歪みを直すべき食事療法を正しくすることが、病気を治すうえで第一に必要であり、しかも効果的であることはいうまでもありません。

食生活の重要な点

病気を治療するとき、悪化や再発防止に薬は必要です。ところが多くの薬には副作用がともなうので必要以上に使用することは危険なために、できることなら食事療法で改善したいのが本音でしょう。

最近、各種の成人病の治療に食事療法が有効であることが理論的にも明らかにされつつあります。ここでは、食事療法を行ううえで必要な基礎知識を、食生活全般から見てみたい思います。

食生活と二言でいっても、その内容は複雑で、いくつかの要因がありますが、大きくは食事の量、質、それに食べ方に分けて考えることができます。

食事量

摂取するエネルギー量(カロリー)と成人病との関係です。健康を維持するには、摂取エネルギー量は体が必要とする量に等しく、消費エネルギー、エネルギーの過剰摂取、つまり過食ということになり、逆の場合はエネルギーの不足、つまり減食ということになります。このバランスが崩れ、エネルギーをとりすぎれば、肥満が生じ、肥満は、高脂血症・高血圧・糖尿病・痛風・脂肪肝・関節痛を引き起こし、さらに高脂血症・高血圧・糖尿病・痛風などは動脈硬化の誘因となり、動脈硬化は狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・腎臓病などの要因となります。
たんなる食べすぎから、いろいろな病気が起こってくることがわかります。昔から「腹八分目に医者いらず」といって食べすぎをいましめたのは、食べすぎがいかに多くの病気の誘因になっているかを経験的に知っていたからです。

逆に、食欲不振や意識的な減食により極端なエネルギー不足が起こると、体脂肪や体タンパク質が分解し、やせる、貧血、無月経、脱毛、体力減退などが生じます。

食事の質

質のよい食事とは、各種栄養素が過不足なく含まれ、栄養のバランスとれている状態です。
戦後、日本人はおかずに高タンパク質・高脂肪の欧米食を積極的に導入することにより、栄養状態を見直してきました。
しかし、現在の平均値でみれば、すでに上限にあると考えられています。これ以上高タンパク質・高脂肪食にすると、欧米人と同じように狭心症や心筋梗塞のような動脈硬化性の心臓病に悩まされてしまうからです。

とくに動物性脂肪には、飽和脂肪酸やコレステロールなどが含まれ、これらは血液中のコレステロールを上昇させ、高脂血症を引き起こします。

高脂血症とは

脂肪のとりすぎは、肥満・糖尿病の誘因となり、肥満は高血圧・痛風を引き起こし、さらに高血圧・痛風・高脂血症・糖尿病などが動脈硬化の危険因子になり、動脈硬化は、脳梗塞・心臓病の要因になるのです。一方、脂質が少なすぎても」全体のエネルギー補給がうまくいかず、やせる、虚弱体質、体力減退などが現れ、さらにビタミンA・E・D・Kなど脂溶性ビタミンの吸収も悪くなります。当然、糖質のとりすぎも問題です。

とくに、砂糖、果物、菓子などに多い簾糖、果糖、ブドウ糖などの甘い糖は体脂肪になりやすい性質をもっています。したがって、これらをとりすぎると、肥満・高脂血症(とくに高中性脂肪血症)・脂肪肝を引き起こし、肥満は高血圧・糖尿病・痛風の原因となり、さらに、これらが危険因子となり動脈硬化が進展し、心臓病・脳梗塞を引き起こすことになります。また、食塩のとりすぎは高血圧を引き起こし、高血圧は腎臓病・脳出血・脳梗塞、さらに狭心症・心筋梗塞の危険因子になります。ビタミン、ミネラ〜は微量栄養素とも呼ばれ、必要な量は少量なのですが、体の代謝を円滑にしたり、体の構成成分となる重要な働きをします。最近、これらの不足が各種成人病の発症にかかわっていることがわかってきています。

たとえば、ビタミンA、カロチン、ビタミンE・Cなどには、ガンや心臓病を予防する働きがあるといわれています。このような微量栄養素の潜在性欠乏状態が引き起こすさまざまな状態が存在するといわれるようになっています。

たとえば、特別な病気はないのですが、イライラ、過敏反応、注意散漫、疲労感、なんとなく集中力がない、仕事への持続力がないなどの訴え、つまり不定愁訴といわれるものですが、この主原因が、これらビタミン、ミネラル類の潜在性欠乏状態のためではないかと考えられているのです。

食物繊維の不足も成人病の発症にかかわっているといわれます。食物繊維は、人間の消化液では消化されないために、低エネルギーで食事のカサを増やしたり、糖質や脂肪の吸収を遅延させたり、コレステロールの排泄を促進したりします。また、便通をよくし、発ガン怪物質の作用をやわらげる働きもあります。

そのほか、アルコール類、カフェイン飲料、炭酸飲料など噂好品も成人病と関係しています。たとえばアルコールをとりすぎると、肥満、肝臓病、心臓病、脳卒中、膵臓病、糖尿病、高血圧、痛風などを起こしやすくなります。

カフェイン飲料は胃液の分泌を冗進し、脳、神経系を緊張させる働きがあり、うまく使えば眠けをさまし、思考力を助長してくれます。ところが、これも飲みすぎると、胃炎、腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、動脈硬化、心臓病、膵臓ガンなどの誘因になります。

食べ方

食べ方の不規則性も健康を害する原因です。というのは、体内での各種代謝には一定のリズムがあり、体温、心拍数、血液の性質や状態、各種ホルモン備にも、1日の間に一定の規則性があるからです。規則正しい食生活が健康によいのは、環境の変化が、生体がもつこのリズムに対応して変化するからです。生活の不規則性は、食事の回数や時刻にも変化をもたらします。

食事を抜いたり、食事回数が減少するほど体脂肪の合成はすすみ、太りやすいこと、さらに夕食にまとめ食いをしたり、夕食が遅れたり、夜食をとるなど夜型食事になるほど太りやすいこともわかっています。

食べるスピードも健康に関与します。食事時間が短く、よく噛んで食べない人ほど、食べすぎて太りやすくなるのです。また、消化が悪くなり胃腸への負担は多くなります。規則正しく、ゆっくりよく噛んで食べることは、食べすぎで起こる病気の場合も、食べられないで起こる病気の場合も、その予防や治療に大切なのです。調理済みや半調理済み食品を使う家庭が多くなってきていますが、このような食品を利用する頻度が高くなるほど、栄養素の摂取状況には問題が多くなります。出来合いのものを使って調理時間が短くなればなるほど、カルシウム、ビタミンA・款摂取量が不足する傾向がみられることが報告されています。

また最近では、家族みんなで食卓を囲むという頻度も少なくなり、いわゆる「個食」化の傾向がみられますが、子どもだけで食べる子どもたちは、両親といっしょに食べる子どもたちに比べて、栄養のバランスが悪い傾向がみられています。便利で豊かな食生活は、「いつでも」「どこでも」「何でも」「好きなだけ」食べられることを可能にしましたが、このことは新たな問題も引き起こし、成人病の発症に深くかかわっているのです。

食事療法が必要なとき

体内では、生命活動を営むために、実に多くの代謝が行われ、これらの代謝が健全に行われるように、食事から必要な栄養素を獲得しています。病気になると、なんらかのかたちでこの代謝にいろいろな変化が起きるのです。食事療法は、このような代謝の変化に対して、これを正常化するか、あるいは異常のまま正常化できない病気では、いかに負担をかけないようにするかを主たる目的にします。
具体的な食事療法の内容は病気の種類により異なり、いろいろな場面に、いろいろな目的で利用されます。たとえば、外傷、かぜ、食中毒などの感染症、あるいは軽い炎症などは、一時的に対症療法を行い、あとは体がもつ自然治癒力を待てば治療ができます。
このような場合の食事療法は、外傷や感染したときの急性期に、食べやすく、消化のよいものにする必要がありますが、安定化すれば、ふつう栄養状態をよくします。

また、胃・十二指腸潰瘍、胆石、早期の癌などで消化管の一部を除去する手術を行った場合には一時、チューブを用いて経腸栄養剤を投与したり中心静脈栄養法で積極的に栄養補助を行います。
そして症状が安定後、食べやすい食事を食べやすい形で摂るようにします。

ところで、高血圧、動脈硬化、糖尿病、肝臓病、腎臓病などの慢性疾患といわれる病気の多くは、食事療法が非常に重要です。
成人病はこの,慢性疾患に属します。これらの病気は、変化した代謝を完全に元に戻すことができないので食事療法はずっとついてまわります。
食事療法や、生活習慣、薬の管理などを管理すれば治った状態を維持することができ、自覚症状もなくふつうの生活をすることができるのです。
一般にこうした疾病にかかっている人は多く食事療法の長期間、あるいは生涯にわたって必要です。
これを丁寧に行っていくことがポイントです。

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